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藪 明山

(H25.12.27更新)
藪 明山は(1853~1934)は画家・藪 長水(1813~1867)の子として、大坂・長堀に生まれました。明治新政府発足後の大阪で、欧米諸国向けの輸出品として注目されていた「薩摩焼」の製作・販売をおこなった近代を代表する工芸家であり起業家です。明山は明治13年(1880)から昭和初期頃まで北区中之島に「陶器描画場」を経営しました。明治時代には日本各地でさまざまな「薩摩焼」が生産されましたが、明山工房製の「薩摩焼」はその上絵付の細密さで他の追随を許さず、「明山薩摩」あるいは「明山焼」などと呼ばれて、国内外の博覧会、特に欧米で開催された万国博覧会で大好評を博しました。 (中野朋子)
富士・藤・孔雀図大花瓶

富士・藤・孔雀図大花瓶

明治時代後期~大正時代 1897~1926 本館蔵 森田和子氏寄贈

藪明山の代表作のひとつ。極小作品を得意とした明山には珍しい大振りな作品。器胎に3つの枠を取り、それぞれに富士、藤、孔雀の三図を描く。正面に向けた富士図は収穫期を終えた農村から望む雄大な富士山を描いたもので、その山頂はうっすらと雪化粧している。
牡丹詰文花瓶

牡丹詰文花瓶

明治時代後期 1897~1912 本館蔵 森田和子氏寄贈

明山工房最盛期の作品のひとつで、明山が最晩年まで手元に置き、愛玩した作品のひとつ。牡丹の花弁に施された金泥の筋書きは花弁の表と裏で筋の幅に変化を持たせることで微妙な陰影を表現するなど、文様が類似する「牡丹詰文鶉摘香炉」の花弁よりも、一段と丁寧で緻密な表現がなされている。
蝶図皿

蝶図皿

明治時代後期 1897~1912 本館蔵 森田和子氏寄贈

蝶が群れをなして飛び交う精密な図様である。一見すると点描にしか見えない蝶図であるが、それを拡大してみると一羽一羽がしっかりと羽ばたいている。明山工房では、こうした細密な図様の薩摩焼製作を得意とし、その図様の管理は下絵用の銅版によって行われていた。
雪景楼閣山水図皿

雪景楼閣山水図皿

明治時代後期 1897~1912 本館蔵

雪の降り積もった楼閣の近くを行き交う人々は中国風の装いである。東洋の絵画表現に特有の平面性が見られる一方で、雪の堆積をより立体的に表現するために釉薬を盛り上げている点に注目して欲しい。皿の丸い区画のなかに雪の白色を大胆に取り入れた図様が大きな拡がりを見せている。
薩摩焼素地

薩摩焼素地

明治時代後期~大正時代 1897~1926 本館蔵 森田和子氏寄贈

明山工房では素地の焼成は行っておらず、薩摩焼の窯元である沈壽官窯等より取り寄せたものに、上絵付のみ行っていた。これらの素地の表面をよく観察してみると、うっすらと下絵らしくものが見えるが、これは、「下絵用銅版」を用いて薄紙に印刷した図様を転写したものである。