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宝船コレクション

(H25.11.28更新)
米俵・宝物・七福神などを乗せた船、またはそれを描いた絵を「宝船」という。当館には262枚の宝船コレクションがある。それらは大きく二つの資料群からなっている。ひとつは京都の収集家からの購入品で、大正時代以降、京都や大阪の社寺が発行した宝船160枚である。もうひとつは都鳥澄子氏寄贈の宝船で、昭和6年の第3回浪華宝船会で当時の趣味人たちが発行した宝船等102枚である。江戸時代、京都や大阪の社寺では縁起物として様々な宝船が授与されていた。近代に入ると、宝船の授与は途絶えたが、大正時代の中頃から宝船が復興されるようになり、昭和戦前期には趣味人のあいだで節分のイベントとして自作の宝船の交換会が開催されることもあった。当館の宝船コレクションは、そうした大正・昭和の宝船の復興と流行を物語る資料群といえる。(伊藤廣之)
宝船 京都・五條天神宮

宝船 京都・五條天神宮

大正時代

この宝船には一束の稲穂が宝物として象徴的に描かれている。宝船の船首が左を向いていることから、いわゆる「入船(いりふね)」つまり港に入ってくる船を表現している。宝船の絵としては、もっとも素朴で象徴的な図柄であり、宝船の原点といってもよい。社伝によれば、室町時代以降、節分に際して宮中や公家に献上していたものであるが、大正時代の中頃から一般参詣者にも枚数を限定して授与するようになったといわれている。
戎神宝船 大阪・堀川神社

戎神宝船 大阪・堀川神社

昭和6年 都鳥澄子氏寄贈

昭和6年2月の第3回浪華宝船会で堀川神社から授与された宝船である。伝統的な宝船の絵柄を継承したもので、帆掛け船には戎神とともに、米俵・珠・金銀・鉤・隠れ笠・隠れ蓑・小槌の「七宝」が描かれている。堀川神社はすでに大正時代中頃には宝船を授与しており、昭和戦前期には浪華宝船会にも会員として加わり、宝船の授与をおこなっていた。
童話宝船 森田乙三洞

童話宝船 森田乙三洞

昭和6年 都鳥澄子氏寄贈

昭和6年2月の第3回浪華宝船会で森田乙三洞が授与した宝船である。船上でパイプをくわえ、楽器を奏でる人物は森田乙三洞本人であろう。「自刀」の文字は、自分で版木を彫ったことを表している。森田乙三洞は本名を森田誠信といい、大阪を代表する趣味人のひとりである。戦前に千日前で美術関係の書店を営みながら、自分の趣味の品である郷土玩具・人形・西洋の文物なども扱っていたことから多くの趣味人との交流があった。