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鴻池コレクション(生活用具)

(H26.1.17更新)

17世紀初頭から大阪において両替商を営んできた鴻池善右衞門家から寄贈された資料は、漆工品、服飾・染織品、十一代善右衞門幸方(ゆきかた)の趣味の品々など、鴻池家の暮らしと文化をものがたる資料群で、総数は386件3,358点に及ぶ。漆工品は、当主の婚礼に用いられた膳椀類や婚礼調度など金蒔絵で鴻池家の定紋を装飾した格調の高い品々が中心である。服飾・染織品は、婚礼用の振袖や威儀を正すために用いられる上下(かみしも)類、七代幸栄(ゆきふさ)ゆかりの素襖袴(すおうばかま)など江戸時代後期の大阪における服飾について考察する上で恰好の資料群である。幸方関係品は、まさに鴻池家の家格がしのばれる第一級の品々で、当時の鴻池家の生活ぶりを考える上で、なくてはならないコレクションとなっている。

生活用具

明治時代から昭和初期にかけての鴻池家の当主は、十一代鴻池善右衞門幸方(ゆきかた、1865~1931)であった。その時代に用いられていた品々は、火鉢・燭台などの家具調度品、膳椀・大皿・洋食器などの食器類、写真機・蓄音機・幻灯機などの趣味の品など、華やかで優れたもので構成され、鴻池家の日常がしのばれる。(船越幹央)

紙調琴(しちょうきん)

紙調琴(しちょうきん)

近代 本館蔵 鴻池善右衞門氏寄贈

一般には紙腔琴と呼ばれる手回し式の自動演奏装置の一種である。本体の中にふいごとリードが備えられており、穴のあいた巻物状の曲譜を動かしながら風を送ると音楽が演奏される。明治17年(1884)に戸田欣堂が考案したといわれる。この紙調琴は、本体の4側面に、落城を眺める騎兵や沈没する軍艦などが蒔絵で描かれており、日露戦争の場面を描写したものかと考えられ、明治後期の品と推測される。
菊螺鈿手焙(きくらでんてあぶり)

菊螺鈿手焙(きくらでんてあぶり)

近代 本館蔵 鴻池善右衞門氏寄贈

精巧な螺鈿によって菊枝文を付けた華やかな手焙(火鉢)で、裏面にも螺鈿で「清菊真香」の4文字を入れている。東京日本橋の木屋漆器店より購入されたもので、一対の品である。螺鈿とは、アワビなどの貝殻を漆地などに張り付けて文様を作る技法をいう。
コーヒー碗(こーひーわん)

コーヒー碗(わん)

近代 本館蔵 鴻池善右衞門氏寄贈

京焼の永楽妙全の作品で、瑠璃地に光琳三ツ松紋を散らす。碗の高台内に「京」、受皿に「永楽」の印がある。箱書に「瑠璃金襴手コーヒ茶碗」とあり、「永楽悠作 御紋附紫交趾加琲茶碗 弐箱之内 六個」の張紙がある。幸方は、永楽の作品が好みで食器や装飾品を特注していたといい、永楽得全・妙全らの作品が多数所有されていた。
電気蛍籠(でんきほたるかご)

電気蛍籠(でんきほたるかご)

近代 本館蔵 鴻池善右衞門氏寄贈

蛍狩りは夏の風物詩であるが、取った蛍を入れて光るさまを眺めるのが蛍籠である。この品は、籠の中の筒に蛍が描かれており、内部に電球が仕込まれていて光るようになっている。昭和初期頃の品であろうか。電気仕掛けの蛍とは近代的だが、新しい装置を好んだ鴻池幸方らしい一品といえる。
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