1. ホーム
  2. 展示・イベント
  3. 特別展
  4. 過去の特別展
  5. よみがえる銅(あかがね)-南蛮吹きと住友銅吹所-

特別展 よみがえる銅(あかがね)-南蛮吹きと住友銅吹所- トップイメージ
(H26.5.22更新)

特別展「よみがえる銅(あかがね)-南蛮吹きと住友銅吹所-」

平成15年10月1日(水)~11月24日(月)

銅は古来より「あかがね」と呼ばれ、人々の暮らしや文化と深く結びついた金属の一つでした。しかし、江戸時代の日本が世界有数の銅生産国であり、大坂に、世界有数の銅精錬工場があったことは、あまり知られていません。今回の特別展では、オランダから里帰りした棹銅(銅のインゴット)など、国内外の貴重な実物資料を通じて、江戸時代の大坂にあった銅吹所(銅の精錬工場)が世界的に見て高度な技術水準にあり、そこで精練された良質の銅が国内のみならず海外へ輸出されており、大坂と世界が結びついていたことを身近に感じていただくのが目的です。

銅吹所は原則として大坂にしかなく、そのうちで最大だったのが長堀(現在の中央区島之内)の住友銅吹所でした。住友銅吹所跡では、平成2年から5年にかけて(財)大阪市文化財協会により発掘調査が行われ、銅の精錬や住友家にかかわる遺構や遺物が多数見つかりました。今回、その成果を広く公開するとともに、古文書や絵画などの実物資料を通して、世界的な視野から江戸時代の銅精錬の様子を展示します。

また、古代から現代までの銅採掘・精錬・鋳造技術の進歩を通観する中で江戸時代の銅吹所を位置づけ、近世都市大坂の産業と技術の重要性を紹介します。

【南蛮吹き とは?】
銅鉱石の中に含まれた銀を取り出す技術で、銀を含んだ銅に鉛を混ぜ合わせることにより、鉛と銀を結びつかせ、銅から銀を含んだ鉛を取り出す方法です。この方法は17世紀の初めに京都の蘇我理右衛門 (りえもん) (住友家二代住友友以 (とももち) の実父)がはじめ、南蛮人から伝習した技術であると伝えられていたことから、「南蛮吹き」とよばれていました。なお、銀を含んだ鉛は、「灰吹き」法によっ0.2て銀と鉛が分離されました。
【灰吹き とは?】
銀を含んだ鉛を灰の上で加熱して、溶けた鉛を灰の中に滲み込ませ、銀を取り出す方法です。
特別展「よみがえる銅(あかがね)-南蛮吹きと住友銅吹所-」
主  催 大阪歴史博物館
後  援 住友グループ20社
在大阪・神戸オランダ総領事館、駐大阪大韓民国総領事館、関西韓国文化院、
NHK 大阪放送局
協  力 文部科学省特定領域研究「江戸モノづくり」総括班
会  場 大阪歴史博物館 6階 特別展示室 交通のご案内
開館時間 午前9時30分から午後5時まで(金曜日は午後8時まで)
(ただし、入館は閉館の30分前まで)
休 館 日 毎週火曜日
観 覧 料
特 別 展 常設展共通券
800円(720円) 1,260円
高 校 生
大 学 生
600円(540円) 900円

※( ) 内は20名以上の団体割引料金
※中学生以下、大阪市在住の65歳以上の方、障害者手帳等をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料
※常設展示は、別途観覧料が必要です。

展示予定
資料数
180件 320点


主要出品物

鉄鍋
石見銀山遺跡出土、大田市教育委員会

解説▼クリック
戦国時代「灰吹き」に使われたと考えられる。鍋の中に灰を入れて加熱した。日本で初めて「灰吹き」が導入されたのが石見銀山で、これ以降銀の生産量が飛躍的に増大し、日本はメタル・ラッシュの時代に突入した。

鼓銅 (こどう) 図録
大阪歴史博物館蔵

解説▼クリック
 『鼓銅図録』は、住友家が19世紀の初めに作成した書物で、銅の採鉱から精錬までの過程を挿絵と文章で解説している。当時の銅精錬の様子をビジュアルに知ることができる貴重な資料である。

南蛮床前蓋
住友銅吹所跡出土、大阪市教育委員会

解説▼クリック
南蛮床は銀と結びついた鉛を銅と分離する工程で使用される炉である。住友銅吹所からは『鼓銅図録』に描かれている南蛮床の前蓋と同様の形の遺物が出土している。

棹銅
オランダ国立民族学博物館蔵

解説▼クリック
純度99%に精錬された銅のうち輸出用は棒状の「棹銅」と呼ばれる形に加工される。この棹銅はオランダ国立民族学博物館に所蔵されているフィッセル(長崎のオランダ商館員、1820~29滞日)のコレクションに含まれていたもので、彼が日本から持ち帰ったものと考えられる。

蘭館絵巻 倉前の図
長崎市立博物館蔵、国指定重要美術品
※展示期間:平成15年10月29日~11月24日(予定)、他の期間はパネル展示の予定

解説▼クリック
長崎の出島で、オランダ商館員と日本の役人が立会いのもと、輸出用の棹銅を検査している様子が描かれている。銅輸出の具体的な様子がわかる貴重な資料である。
※展示期間:平成15年10月29日~11月24日(予定)、他の期間はパネル展示の予定

再現実演会 「棹吹き-江戸時代の職人技に挑戦-」
復元した炉を使って、江戸時代に住友銅吹所で行われた銅精錬工程の一つ棹吹きを再現します。銅の溶解過程や棹銅を作る様子を見学いただき、同時に鞴 (ふいご) による送風体験もあります。
※炉の復元:(財)大阪市文化財協会
日  時 10月11日(土)、10月18日(土)、11月1日(土)
いずれも午後1時と午後3時からの各日2回実演を行ないます。
(各回30分前より受付開始)
会  場 大阪歴史博物館 東側公園予定地(旧NHK大阪放送会館跡地)
定  員 各回40名
参加費用 500円(当日会場でいただきます)
参加方法 往復ハガキに
(1) 住所
(2) 氏名
(3) 電話番号
(4) 希望する日と時間
を明記の上、下記までお申し込みください。(ハガキ1枚につき1名まで有効)

〒540-0008 大阪市中央区大手前4-1-32
大阪歴史博物館 再現実演会「棹吹き-江戸時代の職人技に挑戦-」係 宛

※応募者多数の場合は抽選となりますので、ご了承ください。
申込締切 9月30日(火)消印有効
シンポジウム「近世大坂の銅吹所」
古代から近世にいたる銅精錬の歴史をわかりやすく解説し、住友銅吹所を中心とする近世大坂の銅吹所の歴史的意義や全体像を明らかにします。とくに、近世の銅精錬業の中心的存在であった住友家に焦点を当て、特別展の内容をより深く理解していただくシンポジウムです。多くの方の参加をお待ちしております。
プログラム
[第1部]
【趣旨説明】
「シンポジウム開催にあたって」 脇田 修
【基調報告】
(1) 神崎 勝 氏「住友銅吹所の銅製錬技術-その歴史的位置付けについて-」
(2) 松尾信裕 氏「産業都市大坂と住友銅吹所」
(3) 今井典子 氏「住友家と銅吹所-幕府高官の視察を中心に-」
[第2部]
【討  論】
「近世大坂の銅吹所」
講  師 今井 典子 氏 (住友史料館 副館長)
神崎 勝 氏  (妙見山麓遺跡調査会 代表)
松尾 信裕 氏 (大阪市文化財協会 研究資料課 課長代理)
脇田 修    (大阪歴史博物館 館長)
日  時 11月15日(土) 午後1時~4時30分(12時30分より受付開始)
会  場 大阪歴史博物館 4階 講堂
定  員 250名
参 加 料 無料
参加方法 往復ハガキに
(1) 住所
(2) 氏名
(3) 電話番号
を明記の上、下記までお申し込みください。 (ハガキ1枚につき1名まで有効)

〒540-0008 大阪市中央区大手前4-1-32
大阪歴史博物館 シンポジウム『近世大坂の銅吹所』係 宛

※応募者多数の場合は抽選となりますので、ご了承ください。
申込締切 11月8日(土)必着