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特別展 草創期の日本刀-反りのルーツを探る トップイメージ
(H26.4.23更新)

特別展「草創期の日本刀-反りのルーツを探る」

平成15年5月28日(水)~6月30日(月)

今回の特別展では、日本刀といえば誰もが思い描く美しい「反り(そり)」に着目し、日本刀の歴史の中で、それがいつ生まれ、完成に至ったか、現存する実物作品59口(国宝2口、重要文化財5口を含む)を通して検証します。

 古代、刀剣は武器として発生し、武器としての機能を高める中で形を変化させ、平安時代中期から後期にかけて一定の様式となって完成します。その様式の大きな特徴の一つが湾刀形式、即ち「反り」です。

本展は、奈良から平安時代にかけて東北で発達した蕨手刀(わらびてとう)、その発展形としての毛抜形(けぬきがた)蕨手刀、そして平安時代中期に姿を見せる毛抜形太刀、平安時代に作刀活動を盛んにした奥州鍛冶、そして美しい反りが完成された平安時代末期から鎌倉時代にかけての名刀の数々を、変遷に則してたどります。


刀匠による鍛練実演会
日  時 6月13日(金)・14日(土)
詳細はコチラをご覧ください。
ワークショップ「刀身の重さを当ててみよう」
刀工が本式の鍛錬方法で作成し、刃のない状態に仕上げた当館オリジナルの「日本刀」の重さを体験できます。
1) 日  時 展示期間中の毎週月・水・金曜 午後1時~3時の間で随時開催
(所要時間は20分程度)
2) 場  所 大阪歴史博物館 6階特別展示室内
3) 解  説 大阪歴史博物館 学芸員
4) 参加方法 当日会場にて随時受付。来館者の安全上、人数を制限する場合があります。
5) 料  金 参加無料(ただし、特別展観覧料が必要)
講演会「草創期の日本刀」
1) 開催日時 6月7日(土) 午後2時~3時30分
2) 場  所 大阪歴史博物館 4階講堂
3) 講  師 佐野美術館長 渡邊妙子氏
4) 定  員 250人
5) 受  付 当日会場前にて(開始は午後1時30分から)
6) 料  金 聴講無料
展示解説
1) 日  時 展示期間中全ての土・日曜 午前10時~午後4時30分
2) 場  所 大阪歴史博物館 6階特別展示室内
3) 解  説 (財) 日本美術刀剣保存協会大阪支部会員
4) 料  金 参加無料 (ただし、特別展観覧料が必要)

なお、本展覧会は、平成15年1月5日(日)から2月3日(月)まで、静岡県三島市の佐野美術館において開催されたもので、大阪歴史博物館に続いて、岩手県の一関市博物館でも平成15年7月19日(土)から8月17日(日)まで開催されます。


特別展「草創期の日本刀-反りのルーツを探る」
主  催 大阪歴史博物館、日本経済新聞社
共  催 佐野美術館、一関市博物館
後  援 (財) 日本美術刀剣保存協会、NHK大阪放送局
協  力 (財) 日本美術刀剣保存協会大阪支部
会  期 平成15年5月28日(水)~6月30日(月)
開館時間 午前9時30分から午後5時まで(金曜日は午後8時まで)
(ただし、入館は閉館の30分前まで)
休 館 日 毎週火曜日
会  場 大阪歴史博物館 6階 特別展示室 交通のご案内
観 覧 料
特 別 展
600円(540円)
高 校 生
大 学 生
450円(410円)
※( )内は20名以上の団体割引料金。
※ 中学生以下、大阪市内在住の65歳以上の方、障害者手帳などをお持ちの方(介護者1名を含む)は無料。
※常設展示は、別途観覧料が必要です。
展示予定
資料数
59口 (国宝2口、重要文化財5口を含む)


おもな出品物

蕨手刀
奈良時代(8世紀) 個人蔵

解説▼クリック
蕨手刀(わらびてとう)とは、柄の部分が蕨のような姿をすることからこのように呼ばれる。柄の部分が強く反る(そる)ところに特徴があり、この柄反りが、日本刀の反りの源流にあると考えられている。反りは馬上戦での「なぎ斬る」用途に適しており、実際、蕨手刀は馬上戦を得意とした東北で発達した。

毛抜形太刀
平安時代(10世紀) 滋賀 宝厳寺蔵
[重要文化財]

解説▼クリック
毛抜形(けぬきがた)太刀とは、 茎(なかご)の部分に透かした細長い樋が次第に毛抜きの形に似たものになっていくことからその名前を持つ。この太刀は、柄の反り方など蕨手刀の姿を残しつつも、刀身に反りが見られる点、また、鎬(しのぎ)造りである点など、日本刀へ移行する過渡的な様相を呈している。

呑口式打刀(のみくちしき うちがたな)
平安時代(12世紀) 中尊寺金色院蔵
[重要文化財]

解説▼クリック
藤原清衡の棺に伝わる打刀(うちがたな)。呑口式(のみくちしき)とは、付属している鞘残欠の形状による呼称 (鞘は未出品)。清衡の没年が天治3年 (1126) であることから、製作時期が絞り込める好例である。打刀とは文字通り打ち下ろして切る刀で、刃を上にして装着した。

太刀 銘 三条
平安時代(12世紀) 岐阜 南宮大社蔵
[重要文化財]

解説▼クリック
三条宗近は京都三条に居住したと言われ、謡曲「小鍛冶」にも知られる著名工で、昔から日本刀草創期の刀工として語られることが多い。この太刀は鎬(しのぎ)造りで、腰反りが高く、優美な作である。その後時代によって少しずつ姿を変えつつも大きな変化もなく連綿と受け継がれる、日本刀の反りの原点といえる時期の作品である。なお、今回の企画展が初めての公開になる(既に三島会場にて公開済み)。

太刀 銘 安家
平安時代(12世紀) 京都国立博物館蔵
[国宝]

解説▼クリック
安家は伯耆 (鳥取県) で活躍した平安時代末期の刀工。三条と同じく、鎬(しのぎ)造りで腰反りが高く、優美な姿はこの時期の典型である。蕨手刀(わらびてとう)など、反りの源流と思われる時期の作例が東日本に多い一方、日本刀は全国的に普及していく。その時地の利を得たのは、都に近い場所か、またはこの太刀に見られるような、原料となる砂鉄の入手に長じた地であった。
太刀(刀身)の各部名称