時代(1368〜1644)の初期、北京の宮廷には李在、戴進、呂紀などの優秀な画家が集まり、華々しい活躍をしました。彼らは宋時代(960〜1279年)の宮廷絵画様式を継承し、宮殿や貴族の邸宅にふさわしい華麗な装飾的画面を制作しました。わが国を代表する画家の一人である雪舟は、明に渡った際、李在に画法を学んだといわれています。
琴高乗鯉図 (きんこうじょうりず)
李在(りざい)筆
明 15世紀 絹本著色 縦164.2cm 横95.5cm
双雉図(そうちず)
呂紀(りょき)筆
明 16世紀 絹本著色 縦128.4cm 横84.9cm
には宮廷絵画は下火となり、新たに民間において浙派と呉派の二大画派が台頭します。杭州(浙江省)を拠点とする浙派は、宮廷画家をつとめた戴進を始祖として、南宋宮廷画家の馬遠、夏珪を学んで調子の強い水墨を基調とする職業画家集団でした。他方、蘇州(江蘇省)を拠点とする呉派は、沈周、文徴明を指導者として、元末四大家を学んで穏やかな淡彩を基調とする文人画家集団でした。後者には、祝允明などの書家も含まれています。両派は互いにしのぎを削りましたが、董其昌の唱えた「南北宗論」で、絵画の様式を文人画家の南宗と職業画家の北宗とに分け、南宗こそ正統であると主張されるなど、詩文の教養をともなった高雅な精神的境地を表現する文人画全盛の時代となっていきました。
落霞孤鶩図(らっかこぶず)
唐寅(とういん)筆
明 16世紀 絹本著色 縦189.1cm 横105.4cm
棲霞寺詩意図 (せいかじしいず)
董其昌(とうきしょう)筆
明 天啓6年(1626年) 紙本墨画 縦133.1cm 横52.5cm
草書杜甫詩巻(部分) (そうしょとほしかん)
祝允明(しゅくいんめい)筆
明 16世紀 紙本墨書 縦35.1cm 横748.4cm
時代末〜清時代初(17世紀)は、多様な絵画が開花しました。南宗正統派が主流を占めましたが、宦官の専横や満洲女真族の脅威など不安定な世相を背景に、呉彬、丁雲鵬、陳洪綬などのエキセントリックな絵画が生まれます。また、漢民族の明から異民族の清へ王朝が変わるなかで、八大山人、石涛などの遺民絵画はそれぞれ個性的な絵画を制作しました。
双鷹図(そうようず)
八大山人(はちだいさんじん)筆
清 康煕38年(1699年) 紙本墨画 縦172.2cm 横90.8cm
雅集図巻(がしゅうずかん)
陳洪綬(ちんこうじゅ)筆
明 17世紀 紙本墨画 縦29.8cm 横98.4cm