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  5. 第42回特集展示「生誕250年 間重富-暦を書きかえた浪花の町人天文学者-」

(H25.7.19更新)

第42回 特集展示

生誕250年 間重富
-暦を書きかえた浪花の町人天文学者-

 ◆ 平成18年 8月30日(水) 10月16日(月) ◆ 

毎週火曜日休館

会 場
8階 特集展示室

時 間
9:30~17:00(金曜は20:00まで)
※入館は閉館30分前まで

観覧料



主 催   大阪歴史博物館

本年は、江戸時代の町人天文学者・間重富(はざま・しげとみ)が生まれて250年に当たります。これを記念して、重富ゆかりの館蔵羽間文庫(はざまぶんこ)資料を中心に、文化4年(1807)に幕命により制作・板刻された最初の官板世界地図である「新訂万国全図」など5件の資料を通じて、大坂町人としての重富像、天文学者としての重富像、地理学者としての重富像、重富の逝去とその後の間家、重富の師・知友・弟子という多様な側面から、間重富の人物と事績を紹介します。
 江戸時代の大坂は、アマチュアながらプロをも凌ぐ町人学者を多数輩出しました。町人天文学者として知られる間重富もその一人です。重富は、通称を十一屋五郎兵衛(じゅういちや・ごろべえ)といい、長堀冨田屋橋(ながほりとんたやばし)北詰で質屋を営む商人でした。しかし家業のかたわら、当時最先端の天文学を極め、ついには町人の身分ながら、武士に交じって幕府の改暦に従事し、現代から見ても精度の高い「寛政暦」の制作を事実上の中心となって推進しました。大業を成し遂げ帰阪した後も、幕府の命を受けて大坂で天体観測を行ったり、陸地測量に従事したりと、幕府の天文・測量事業に大きな位置を占めました。重富はまた、後に日本電気学の祖と呼ばれることになる橋本曇斎(はしもと・どんさい)を、堀江の傘屋の紋書き職人の中から見出し、学資を与えて江戸に遊学させるなど、人材の育成にも尽くしました。


 『展示解説』

【日  程】 9月10日(日)・10月8日(日)
【時  間】 午後2時から2時30分
【会  場】 大阪歴史博物館 8階 特集展示室
【参加費用】 無料(ただし、ご入場には常設展示観覧料が必要です)
【参加方法】 当日直接会場へお越し下さい
【定  員】 なし

期間中の関連行事

おもな展示資料

間重富像

  1幅 昭和24年 本館蔵羽間文庫資料

「間重富像」詳細へ
 
展示資料数:
 約45点

月食測記

  1巻 寛政5年 本館蔵羽間文庫資料

「月食測記」詳細へ

新訂万国全図(★)

  1舗 文化4年 本館蔵羽間文庫資料

展示場では、パソコンを使って地図を拡大し、詳細に書き込まれた文字をごらんいただくこともできます。どうぞご利用ください。

「新訂万国全図」詳細へ
特別公開展示資料
実際の展示ではご覧になることはできない古典籍の中のページをインターネットでのみ特別に公開します。

算方弧矢索引家秘(★)
(さんぽうこしさくいんかひ)


  1冊 享和元年(1801) 大阪府指定有形文化財

「算方弧矢索引家秘」詳細へ

垂球精義(すいきゅうせいぎ)(★)

  1冊 文化2年(1805) 大阪府指定有形文化財

「垂球精義」詳細へ
「晷方考」詳細へ

晷方考(きほうこう)(★)

  1冊 文化5年(1808) 大阪府指定有形文化財

※「★」マークの付いた資料は文部科学省科学研究費補助金特定領域研究(A)「我が国の科学技術黎明期資料の体系化に関する調査・研究」の計画研究A06b「羽間文庫資料の調査・分類と近代科学受容の研究」の成果の一部です

おもな展示資料

間重富像

(1) 間重富像

  1幅 昭和24年 本館蔵羽間文庫資料

近世の著名な天文・算術家の群像画「大坂天文算学者画像」から、間重富部分を抜き書きしたもの。上下(かみしも)を着し、脇差を差した正装の重富が描かれる。賛は『広辞苑』の編者として著名な新村出(しんむら・いずる)が執筆している。

(2) 月食測記

  1巻 寛政5年 本館蔵羽間文庫資料

間重富による、幕府の事業に従事する前の観測記録。重富の自筆。長堀冨田屋橋北   岸の自邸において、自ら作成した測食定分儀という機器を用いて観測した旨が記されている。観測当日の午後は大雨で、夜に入り雨は上がったが、雲に月が隠れる中での観測であったため、重富は誤差があることを恐れている。

月食測記

(3) 新訂万国全図

  1舗 文化4年 本館蔵羽間文庫資料

文化四年(1807)、幕命により制作・板刻された最初の官板世界全図。向かって右にアメリカ大陸を中心とした東半球、左にユーラシア・アフリカ・オセアニア大陸が西半球として描かれ、四角には南北両極、および京都中心の世界図とその真裏に当たる地域(南アメリカ・アフリカ)の図が描かれる。制作担当者は幕府天文方高橋景保(たかはし・かげやす)であるが、凡例に「草莽之臣間重富亦与其事」(そうもうのしんはざましげとみまたそのことにあずかる)と記されており、間重富もこれに深く関与していたことが知られる。

新訂万国全図
 

特別公開 展示資料

算方弧矢索引家秘

(4) 算方弧矢索引家秘
  (さんぽうこしさくいんかひ)

  1冊 享和元年(1801) 大阪府指定有形文化財

円理に関する重富の研究書。「弧矢」は、半円形を弓に、縦径を矢に見立てることに由来する。同じ課題に対する研究は、和算の有力な一派である関流でも行われていたが、成果が秘されていたため、重富は独自にその理を解明したのである。なお、末尾の書状は昭和期の写本である。

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垂球精義

(5) 垂球精義(すいきゅうせいぎ)

  1冊 文化2年(1805) 大阪府指定有形文化財

垂球(振り子)の原理を考察し、惑星運行の理を解明しようとした重富の著作。重富は6日間で本書を書き上げているが、論説が前後し、要領も得ないので、暇を見て推敲したいと述べている。

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晷方考

(6) 晷方考(きほうこう)

  1冊 文化5年(1808) 大阪府指定有形文化財

 晷は日時計のこと。種々の日時計を図入りで提示し、日時計の製作法の発展に資せんことを企図した重富の著作。測記の開発に力を注いだ重富の姿勢を伝えている。

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