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  5. 第41回特集展示「あのころ、こんな子どもの本があった-戦中・戦後の絵本から教科書まで-」

(H25.7.23更新)

第41回 特集展示

あのころ、こんな子どもの本があった
-戦中・戦後の絵本から教科書まで-

 ◆ 平成18年 6月14日(水)8月28日(月) ◆ 

毎週火曜日休館

会 場
8階 特集展示室

時 間
9:30~17:00(金曜は20:00まで)
※入館は閉館30分前まで

観覧料



主 催  「戦後60+1周年 子どもの本・文化プロジェクト」実行委員会
 メリーランド大学
 大阪歴史博物館

後 援  大阪府教育委員会
 (財)大阪国際児童文学館
 (社)日本国際児童図書評議会
 絵本学会
 大阪国際児童文学館を育てる会
 大阪府子ども文庫連絡会
 日本子どもの本研究会
 日本児童文学学会
 (社)日本児童文学者協会
 (社)日本図書館協会

本展覧会では、「子どもの本の歴史」「検閲」「原爆」などのコーナーを設け、メリーランド大学・プランゲ文庫に所蔵される貴重な日本の児童書などを展示し、あわせて「大阪」コーナーでは、敗戦後、大阪で刊行された雑誌『ひかりのくに』、新聞『コドモ大阪』など、地元の出版物を展示します。
 「教科書」コーナーでは、敗戦直後の墨塗り教科書・暫定教科書を経て、アメリカの教科書を参考にした教科書づくりが模索された様子を紹介します。
 また、本土とは異なった状況におかれ、昭和47年までアメリカ統治下にあった「沖縄」について、子ども文化に関する統治政策や、沖縄独自の出版活動についても取り上げます。

満州事変から太平洋戦争に至る戦争の時代(昭和6年~20年)、そして敗戦とアメリカ軍による占領の時代(昭和20年~27年)は、20世紀の日本に生きる人々にとって最も苦難に満ちた時代であったといえるでしょう。それは大人だけでなく、子どもたちにとっても同様でした。
戦時中、子どもたちは「少国民」と呼ばれ、将来、男の子は“兵隊さん”になることが、女の子は“銃後の護り”につくことが求められました。子どもの本にも、戦争や軍事に関する記事や絵があふれていました。
 敗戦後、GHQ(連合国軍総司令部)による民主化が進められ、アメリカ文化が流入してきました。その一方で、GHQはメディアに対する検閲を通して言論統制を行いました。子どもの本も例外ではなく、アメリカの児童書から強い影響を受けた書物が出版されるとともに、民主化に不都合とされる言論は削除・修正せざるを得なくなりました。
この展覧会では、その実例を紹介し、子どもの本を通して、戦争から敗戦という激動の時代に生きた子どもたちと、その暮らし・文化について振り返り、子どもをめぐる問題が多様化する今日、私たちの社会のあり方を考えていただく一助とするものです。

〔参考〕 メリーランド大学所蔵「プランゲ文庫」について
 第二次世界大戦後、日本を占領したGHQ(連合国軍総司令部)は、言論統制のため出版物などの検閲を行いました。その際集められた資料を、GHQに勤務していたゴードン・プランゲ博士が後にアメリカに持ち帰り、教鞭を執っていたメリーランド大学に保管しました。
これがプランゲ文庫で、検閲が行われた昭和20年から同24年にわたって発行された新聞約1万8千タイトル、雑誌約1万4千タイトル、図書等約7万1千タイトルなどを含む膨大な資料群であり、そのうち児童書等が1万冊あまり含まれています。
占領期日本の出版活動の全貌が把握できるたいへん貴重な文庫です。


期間中の関連行事
 『青い目の人形』の展示

【日  程】 平成18年7月2日(日)~8月28日(月)
【会  場】 大阪歴史博物館 7階 常設展示場 近現代フロア
 

 『あのころ、こんな子どもの本があった』展に関連して開催される「日米交流 子どもの本・文化セミナー」で、講演のため来日されるデニィ・ギューリック 氏(メリーランド大学教授)の祖父、シドニー・ギューリック 氏が、昭和初期に日米友好のため日本の子ども達に贈呈を計画された「青い目の人形」を展示します。

 
 『日米交流 子どもの本・文化セミナー
            -歴史に学び未来を拓く-』

【日  程】 平成18年7月1日(土)・2日(日)
【時  間】 1日(土)、午後1時~午後4時30分
       2日(日)、午前10時30分~午後4時30分
【会  場】 大阪歴史博物館 4階 講堂
【出 席 者 】 デニィ・ギューリック 氏(メリーランド大学教授)
       シビル・ヤグッシュ 氏(アメリカ議会図書館児童室長)
       鳥越 信 氏(児童文学者)
       松居 直 氏(日本国際児童図書評議会会長)
       谷 暎子 氏(北星学園大学教授)
       三宅 興子 氏(梅花女子大学大学院教授)
【内  容】 第1日(7月1日)
       「オープニング・スピーチ」(三宅 興子 氏)
       「アメリカの子どもの本にみる日本」
                     (シビル・ヤグッシュ 氏)
       「日本の児童文学と二つの検閲」(鳥越 信 氏)
       第2日(7月2日)
       「子どもたちのための日米平和使節」
                    (デニィ・ギューリック 氏)
       「プランゲ文庫の児童出版物を考える」(谷 暎子 氏)
       「未来を信じたとき」(松居 直 氏)
                         ※演題はすべて仮題
【定  員】 250名(応募者多数の場合は抽選とします)
【参加費用】 第1日のみ:1200円
       第2日のみ:1500円
       2日間通し:2500円
                ※いずれも展示観覧料金は含みません
【申込方法】 往復ハガキに、次を明記して下記までお申込ください。
        (ハガキ1枚につき1名様まで)。
        ●往信面 氏名・郵便番号・住所・電話番号・参加希望日
        ●返信面 返信先の住所・氏名
        申 込 先:〒540-0008 大阪市中央区大手前4-1-32
             大阪歴史博物館「子どもの本セミナー」係

参加申し込みをされた方の個人情報は、この事業に関する連絡のみに使用します。また、本人の同意なしに個人情報を第三者に開示・提供することはありません。

【申込締切】 お席に若干余裕がございます(H18/6/23)
       参加ご希望の方は当館へお問い合わせください。

【お問合せ】 大阪歴史博物館 TEL.06-6946-5728(火曜日休館)

 『展示解説』

【日  程】

6/18(日) 6/25(日) 7/1(土) 7/8(土) 7/16(日) 7/22(土) 7/30(日)
8/6(日) 8/13(日) 8/14(月) 8/16(水) 8/19(土) 8/27(日)  

【時  間】 午後2時から(ただし、7/1のみ午前10時30分から)
【会  場】 大阪歴史博物館 8階 特集展示室
【参加費用】 無料(ただし、ご入場には常設展示観覧料が必要です)       
 『紙芝居のおじさんがやってくる』
           近藤 博昭 氏(池田紙芝居同好会主宰)

【日  程】 平成18年7月30日(日)・8月6日(日)
【時  間】 午後3時から(開場 午後2時30分)
【会  場】 大阪歴史博物館 4階 第1研修室
【定  員】 60名、(当日先着順)、無料

 『戦中・戦後を子どもたちに語りたい(仮)』
           本多 立太郎 氏(わんぱく通信社代表)

【日  程】 平成18年8月13日(日)・8月14日(月)
【時  間】 午後3時から(開場 午後2時30分)
【会  場】 大阪歴史博物館 4階 第1研修室
【定  員】 60名、(当日先着順)、無料




おもな展示資料

火のはなし

  1冊  昭和25年 個人蔵

「火のはなし」詳細へ
 
展示資料数:
 約500点

コドモ大阪 創刊号

  1部  昭和23年 メリーランド大学図書館蔵

「コドモ大阪 創刊号」詳細へ

キンダーブック 復刊第1号

  1冊  昭和21年 大阪府立国際児童文学館蔵

「キンダーブック 復刊第1号」詳細へ

おもな展示資料

火のはなし

(1) 火のはなし

  1冊  昭和25年 個人蔵

敗戦後の教育においては、まず教科書づくりが課題となった。昭和22年、アメリカから教科書の見本が13セット送られてきた。それが全国各地で展示され、科学立国への期待を込めて、理科の教科書づくりの参考にされた。文部省が理科の教科書を著わす際、最も参考にしたとされる「基礎科学教育叢書」は、広島図書が翻訳権を得て出版した。この『火のはなし』はその1冊で、原書の“FIRE”を翻訳したものである。

(2) コドモ大阪 創刊号

  1部  昭和23年 メリーランド大学図書館プランゲ文庫蔵

敗戦後、全国各地で多くの子ども新聞が発行され、地域に根ざした子どもたちの生活が伝えられた。内容は、学習・科学・スポーツ・社会・英語・漫画など多様であるが、どの新聞にも社会や政治の動向が平易に解説されている。大阪でも10数種が発行され、なかでも『コドモ大阪』(コドモ大阪新聞社刊)は『コドモ東京』の姉妹版として、4色カラー印刷の鮮やかな紙面になっている。創刊号(昭和23年4月10日発行)の第1面にはマッカーサーの写真が大きく掲載され、漫画が各面にふんだんに見られる。

コドモ大阪 創刊号

(3) キンダーブック 復刊第1号

  1冊  昭和21年 大阪府立国際児童文学館蔵

昭和2年創刊の絵雑誌『キンダーブック』(フレ-ベル館刊)は、戦争末期に休刊を余儀なくされたが、早くも昭和21年8月に復刊した。復刊第1号の表紙には、青々と実った麦畑を背景にセーラー服の女児と学帽の男児が楽しげに登園する姿が描かれている(河目悌ニ氏画)。幼児向けの観察絵本として、児童文学中心ではなく、日常生活の中でものを見る眼を育てるという編集方針で、幼稚園への直接販売方式によって現在まで80年間にわたり刊行が続けられている。

キンダーブック 復刊第1号