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(H25.7.25更新)

第43回 特集展示

新発見!なにわの考古学2006

 ◆ 平成18年 10月18日(水) 平成19年 1月15日(月) ◆ 

毎週火曜日休館

会 場
8階 特集展示室

時 間
9:30~17:00(金曜は20:00まで)
※入館は閉館30分前まで

観覧料



主 催  (財)大阪市文化財協会、大阪歴史博物館
  ※古墳時代の渡来人に関するコーナーは
   (財)大阪府文化財センターも共催

今年度の特集展示では、平成17年度に行った大阪市内の遺跡発掘調査の成果を、4つの展示コーナーで紹介するほか、本年度ならではの特設コーナーも3つ用意し、かつて「榎津寺」があったと推定されている遠里小野遺跡から発見された古代瓦や、大坂城天守閣の北側にあたる山里出枡形(やまざとでますがた)の発掘調査で発見された「三葉葵」紋鬼瓦など、弥生時代から近現代にかけての資料約170点を展示します。

<展示コーナー>
(1)「原始・古代のなにわ」コーナー
弥生時代の桑津遺跡や、古墳~平安時代の遠里小野遺跡、伶人町遺跡などの集落に係る土器や石器、大坂城跡では、奈良時代の難波宮周辺で行われた土木工事に係る地層とそこから見つかった土器などを紹介します。
(2)「中世門前町のにぎわい」コーナー
伶人町遺跡、安曇寺跡推定地の調査から、平安時代末から鎌倉時代にかけての寺院跡にまつわる井戸や溝で見つかった貴重な輸入陶磁器や土器を展示します。
(3)「大坂城の甍(いらか)」コーナー
中央区大阪城天守閣の北側に接する調査で見つかった江戸時代の石垣と「三葉葵」の紋が入った瓦などを紹介します。
(4)「近世職人の町―金属加工―」コーナー
大坂城跡で見つかった銅吹所(どうぶきしょ)をはじめとする金属の精錬や加工業の様相を、炉の剥取り展示を含めて紹介します。
<特設コーナー>
(1)「発掘でわかった近・現代の大阪」コーナー
特別展『煉瓦(れんが)のまち タイルのまち ~近代建築と都市の風景~』{平成18年10月7日(土)~12月11日(月)}にあわせて、展示機会の少なかった発掘調査で見つかった近現代の資料から、福島1丁目所在遺跡の国立大阪大学病院跡に関連するものを展示します。
(2)「よみがえる住吉の古刹(こさつ)」コーナー
現在も所在不明の「榎津寺」の謎にせまる遠里小野遺跡の古代瓦、住吉大社旧境内遺跡の「神宮寺(じんぐうじ)」の中世瓦に、平成15年度の調査で見つかった荘厳浄土寺境内遺跡の中世瓦を展示します。
(3)「古墳時代に生きた渡来人の軌跡」コーナー
財団法人大阪府文化財センター・財団法人大阪市文化財協会・大阪歴史博物館の共催で、近年成果が著しい大阪府下の古墳時代の渡来人に係る集落のあり方を、長原遺跡、四條畷市蔀屋北(しとみやきた)遺跡、交野市上私部(かみきさべ)遺跡などの馬具や土器などをはじめとする重要な資料を紹介するコーナーを設けます。

【本展覧会で扱うおもな遺跡】

  • 長原遺跡(平野区)
  • 桑津遺跡(東住吉区)
  • 遠里小野(おりおの)遺跡(住吉区)
  • 住吉大社旧境内遺跡(住吉区)
  • 荘厳浄土寺(しょうごんじょうどじ)境内遺跡(住吉区)
  • 伶人町(れいじんちょう)遺跡(天王寺区)
  • 大坂城跡(中央区)
  • 安曇寺(あづみでら)跡推定地(北区)
  • 福島1丁目所在遺跡(福島区)
期間中の関連行事
 講演会『大阪の歴史を掘る2006』
平成17年度の発掘調査成果の報告および古代宮都である難波宮をより理解するために、奈良県飛鳥地域の調査成果をテーマに講演会を開催します。

【演題と
  講師】
1)演題:「平成17年度大阪市内の発掘調査」
  講師:大阪歴史博物館 学芸員 松本百合子
2)演題:「最近の飛鳥の考古学」
  講師:神戸山手大学 人文学部教授 河上邦彦氏
【日 時】 平成18年11月19日(日) 午後1時30分~午後4時30分
             (受付は午後1時開始)
【主 催】 (財)大阪市文化財協会、大阪歴史博物館
【会 場】 大阪歴史博物館 4階 講堂
【定 員】 250名
【参加方法】 当日先着順
【参加費】 500円
【問合せ先】 大阪歴史博物館 TEL 06-6946-5728(火曜日休館)
 『金曜歴史講座』
本展にかかわる主要な発掘調査のようすや成果について、(財)大阪市文化財協会の学芸員が詳細に解説します。
 『展示解説』
当館と(財)大阪市文化財協会学芸員による展示解説を行います。
【日 時】 平成18年11月3日(金) 午後5時~(所要30分程度)
※当日は当館主催の金曜歴史講座「大阪発掘最前線 住吉大社界隈における調査」が開催され(午後6時30分~午後7時45分)、事前に講師が内容に絡む展示解説をします。
平成18年11月5・12・19日(日)・23日(祝・木)・26日(日)午後2時~、19日のみ午前11時~ (各所要30分程度)
【会 場】 大阪歴史博物館 8階 特集展示室
【参加費】 無料(ただし、ご入場には常設展示観覧料が必要です)
 『シンポジウム』
財団法人大阪府文化財センター・財団法人大阪市文化財協会・大阪歴史博物館の共催で、古墳時代における朝鮮半島からの渡来人に関係する集落遺跡を取り上げ、シンポジウム「古墳時代に生きた渡来人の軌跡―長原遺跡・蔀屋北(しとみやきた)遺跡・上私部(かみきさべ)遺跡を中心に―」を開催します。
【日 時】 平成18年12月2日(土)午前11時~午後4時30分
【会 場】 大阪歴史博物館 4階 講堂
詳細は未定につき、シンポジウムの内容と開催要項については、別途広報を予定いたします。

おもな展示資料

遠里小野遺跡の古代瓦

  住吉区遠里小野遺跡(白鳳~平安時代)

「遠里小野遺跡の古代瓦」詳細へ
展示資料数:
 約170点

大坂城天守閣の「三葉葵」紋鬼瓦

  中央区国指定特別史跡大坂城跡(江戸時代)

「大坂城天守閣の「三葉葵」紋鬼瓦」詳細へ

東高麗橋で見つかった銅吹所の炉

  中央区大坂城跡(江戸時代17世紀前半)

「東高麗橋で見つかった銅吹所の炉」詳細へ

おもな展示資料

遠里小野遺跡の古代瓦

(1) 遠里小野遺跡の古代瓦

  住吉区遠里小野遺跡(白鳳~平安時代)

今回調査を行ったのは、かつて「榎津寺(えなつでら)」があったと推定されている場所である。これまで見つかっていた白鳳時代(およそ7世紀後半~8世紀初頭)の瓦に加えて、奈良時代(およそ8世紀)・平安時代前半(およそ9~10世紀)に下る瓦が見つかったことは、今回の調査でもっとも大きな成果である。このことから「榎津寺」が少なくとも150年以上にわたって存在したことが明らかとなった。

※写真手前列の右端とその後ろの軒丸・軒平瓦が平安時代。ほかは全て白鳳時代。

(2) 大坂城天守閣の「三葉葵」紋鬼瓦

  中央区国指定特別史跡大坂城跡(江戸時代)

江戸時代初頭に徳川氏が築いた大坂城天守閣の北側にあたるやまざと山里で出ますがた枡形の発掘調査で、幕末~明治時代の陶磁器などとともに、築城当時の盛土層の上に堆積した整地層から見つかった三葉葵紋の鬼瓦である。現存するたもん多門やぐら櫓などの屋根にもよく似た鬼瓦が葺かれている。幕末の動乱によって大坂城がほとんど消失したことを考えると、付近に存在した建造物に葺かれていた瓦が、その残骸とともに捨てられたものの可能性がある。

大坂城天守閣の「三葉葵紋」鬼瓦
東高麗橋で見つかった銅吹所の炉

(3) 東高麗橋で見つかった銅吹所の炉

  中央区大坂城跡(江戸時代17世紀前半)

直径55cmの合吹(あわせぶき)の炉で、地面を掘窪めて壁を焼いてから、炭を混ぜた粘土を貼り、その粘土は何度も貼り重ねられていた。検出したときは中に粗い砂が入っていた。合吹を中止し、再度使うときのために砂で保護したものと思われる。上面と断面を現地から剥(は)ぎ取って展示する。

※「合吹」:銅鉱石を溶かしてできるまだ純度の低い「荒銅(あらどう)」のうち、銀の含有量の多いものを溶かして鉛を吹き合わせ、鉛と銀を結び付ける工程が「合吹」である。さらに、銅の精錬とは別の工程でこの鉛(貴鉛)から銀だけを取り出す作業が行われる。