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(H25.7.18更新)

第49回 特集展示

かえるの絵描・松本奉時と近世大坂画壇

 ◆ 平成19年 10月3日(水) 11月5日(月) ◆ 

毎週火曜日休館

会 場
8階 特集展示室

時 間
9:30~17:00(金曜は20:00まで)
※入館は閉館30分前まで

観覧料



主 催  大阪歴史博物館

大阪歴史博物館では、平成19年10月3日(水)から11月5日(月)まで、常設展示場8階の特集展示室において特集展示「かえるの絵描・松本奉時と近世大坂画壇」を開催します。
 江戸時代後期の大坂で活動した松本奉時(まつもとほうじ、生年不詳~1800)は、表具師を営んでいました。彼は蛙をこよなく愛し、珍しい蛙の飼育や様々な蛙グッズのコレクションをしたと言われています。また彼は蛙の絵を描き、当時たいへんな評判を得ていました。今に伝わる彼の絵は、その大胆な構図や勢いのある筆使い、愛らしい表情など、現代人にとっても親しみ深い作品となっています。
 奉時は自ら絵筆を取るだけではなく、同時代の優れた書画の収集も行いました。彼は各地で活躍していた当代一流の書家、絵師、文人に揮毫(きごう)を求め、その作品を画帖(がちょう)に仕立て上げました。それらのうちには当時の帝(みかど)・光格天皇(こうかくてんのう)が御覧になった画帖もあり、極めて質の高い作品を集めていたことが分かります。
 本職は表具師ですが、書画の収集を通じて、一流の絵師や学者との交流が生まれ、大坂の地にすばらしい作品が集まったことは文化的に特筆すべき出来事といえます。
 本展示では奉時の描いた絵画と収集した書画を中心に40点の作品を展示します。江戸時代を代表する絵師として評価が高い伊藤若冲(いとうじゃくちゅう、1716~1800、※注)とも交流し、その影響を受けた作品も展示します。
 手間や金銭を惜しまず、一流の品々を集めて文化の向上に貢献した大坂町人の努力の跡をしのんでいただければ幸いです。

※注:伊藤若冲 … 京都で活躍し、鶏をよく描いたことで著名。代表作に豊中市西福寺所蔵・重要文化財「群鶏図襖」(ぐんけいずふすま)や宮内庁三の丸尚蔵館所蔵「動植綵絵」(どうしょくさいえ)がある。


期間中の関連行事
 『展示解説』
学芸員による展示解説を行います。
【日 時】 平成19年10月6日(土) 午後2時から(所要30分程度)
【会 場】 大阪歴史博物館 8階 特集展示室
【定 員】 なし
【参加費】 無料(ただし、入場には常設展示観覧券が必要です)
【参加方法】 当日直接会場へお越しください。

おもな展示資料

蝦蟇図  松本奉時筆

 寛政9年(1797)画  紙本墨画  1幅  個人蔵

「大坂城下町跡出土魚市場木簡」詳細へ
展示資料数:
 約40点

白象図  松本奉時筆

 紙本墨画  1幅  個人蔵

「「天下一」銘呉須赤絵大皿」詳細へ

蛙画帖  松本奉時筆

 紙本淡彩  1冊  個人蔵

「道修町1丁目水帳絵図」詳細へ

おもな展示資料

流光斎「初代中村富十郎」(「梨園書画」の内)

(1) 蝦蟇図  松本奉時筆

  寛政9年(1797)画  紙本墨画  1幅  個人蔵

奉時がもっとも得意とした蛙の絵。正面から見た蛙を描くが、真ん丸の愛らしい目に、勢いのある筆運びで真一文字にきっと描かれた口元が奉時の蛙の特徴を示す。
 蛙の絵は「ヒキガエル」から「客を引く」に通じるとして主に旅館や商店において縁起物として喜ばれたとも言われる。

(2) 白象図  松本奉時筆

  紙本墨画  1幅  個人蔵

墨塗りの背景に、塗り残した部分で白い象を浮かび上がらせた象の図。鶏の絵を得意とし、現在人気が高い伊藤若冲の作品に習った旨が画中に記される。奉時は京都の伏見に住まっていた晩年の若冲を訪ねるなど、交友があったようだ。
 当代一流の絵師の作品を学び、自らの絵に活かそうとした奉時の学習意欲の高さを示す作品。

初代貞信「鬼一法眼三略巻」
芳瀧「夏祭浪花鑑」

(3) 蛙画帖  松本奉時筆

  紙本淡彩  1冊  個人蔵

奉時はさまざまな蛙を飼っていたとも伝えられており、この画帖にも多様な蛙の姿が描かれている。墨一色で勢いよく描かれた蛙もあれば、中国故事に登場する仙人に飼われた蝦蟇、松の根元で瞑想するかのような蛙など写生の域を超えたさまざまな表現で蛙が描かれている。