1. ホーム
  2. 展示・イベント
  3. 特集展示
  4. 過去の特集展示
  5. 第50回特集展示「新発見!なにわの考古学2007」

(H25.7.19更新)

第50回 特集展示

新発見!なにわの考古学2007

◆ 平成19年 11月7日(水) 12月27日(木) ◆ 

毎週火曜日休館

会 場
8階 特集展示室

時 間
9:30~17:00(金曜は20:00まで)
※入館は閉館30分前まで

観覧料



主 催  (財)大阪市文化財協会、大阪歴史博物館
  ※弥生時代の建物についてのコーナーは
   (財)大阪府文化財センターとの共催

大阪歴史博物館では、平成19年11月7日(水)から平成19年12月27日(木)まで、8階特集展示室において、特集展示「新発見!なにわの考古学2007」を開催します。
 本展示では、平成18年度に行った大阪市内の遺跡発掘調査から、平野区長原(ながはら)遺跡の弥生時代の住居跡から見つかった土器、中央区難波宮跡(なにわのみやあと)で発見された日本最古の万葉仮名文(まんようがなぶん)をもつ木簡や重圏文鬼瓦(じゅうけんもんおにがわら)、住吉区苅田(かりた)4丁目所在遺跡で見つかった鋳造にかかわる資料、そして中央区大阪城本丸で発掘された金箔瓦など、約320点を紹介します。


<展示コーナー>

 (1)「なにわのあけぼの-弥生時代・古墳時代の大阪」コーナー
 長原遺跡では、焼け落ちた状態で発見された弥生時代の住居跡から、土器やガラス玉が見つかりました。また長原遺跡や細工谷遺跡では、古墳時代の渡来人に関連する土器が発見されています。阿倍野筋(あべのすじ)遺跡でも、古墳時代の集落跡から土器が見つかっており、ここではそれらの成果について紹介します。

 (2)「よみがえる難波宮と京」コーナー
 重要な発見が相次いだ難波宮(なにわのみや)跡、ならびにその近辺での成果を紹介します。日本最古と考えられる万葉仮名文(まんようがなぶん)をもつ木簡や、東方官衙跡(とうほうかんがあと)での建物跡の発見、後期難波宮の築地(ついじ)跡で見つかった重圏文鬼瓦(じゅうけんもんおにがわら)など、どれも重要な成果ばかりです。また、宮の南に位置する細工谷(さいくだに)遺跡・上本町南遺跡では、土器や祭祀に関連するとみられる遺物が発見されました。

 (3)「明らかになる古代・中世のムラと工房」コーナー
 天美西(あまみにし)遺跡では、地鎮のために埋めたとみられる土器が見つかっており、苅田(かりた)4丁目所在遺跡では、鋳型や金属を溶かす炉など鋳造に関係する遺物が発見されました。また、四天王寺にほど近い大道(だいどう)1丁目所在遺跡では瓦窯が見つかり、各場所における古代・中世のムラの姿が、徐々に明らかになってきました。

 (4)「大坂城と城下町」コーナー
 大阪城本丸では豊臣氏大坂城跡が調査され、金箔瓦を含むさまざまな瓦が見つかりました。また、同じく大坂城三之丸跡では陶磁器類が発見され、大坂城下町跡の道修町(どしょうまち)では魚市場に関連する木簡が見つかっています。天満本願寺(てんまほんがんじ)跡での調査なども含めて、近世大坂の発掘成果について紹介します。

 (5)「近代・戦災に消えた阿倍野の薬局」コーナー
 阿倍野筋遺跡において、戦災にあった薬局から発掘された化粧品の容器などを展示します。

【本展覧会で扱うおもな遺跡】

  • 長原遺跡(平野区)
  • 阿倍野筋遺跡(阿倍野区)
  • 難波宮跡(中央区)
  • 細工谷遺跡(天王寺区)
  • 上本町南遺跡(天王寺区)
  • 天美西遺跡(東住吉区)
  • 苅田4丁目所在遺跡(住吉区)
  • 大道1丁目所在遺跡(天王寺区)
  • 大坂城跡(中央区)
  • 大坂城下町跡(中央区)
  • 天満本願寺跡(北区)
<特設コーナー>

 特設コーナーでは、財団法人大阪府文化財センター・財団法人大阪市文化財協会・大阪歴史博物館が共催で、大阪府下で発掘された弥生時代の竪穴建物跡について紹介します。大阪市長原遺跡・八尾市八尾南(やおみなみ)遺跡・同市久宝寺(きゅうほうじ)遺跡などで調査された重要な資料をもとに、弥生人の住まいにせまります。

期間中の関連行事
 講演会『大阪の歴史を掘る2007』
平成18年度の発掘調査成果の報告、および古代宮都である難波宮をより理解するために、中国の古代都城についての講演会を開催します。
【演題と講師】 1)演題:「平成18年度大阪市内の発掘調査」
  講師:(財)大阪市文化財協会 学芸員 小田木富慈美
2)演題:「甦る唐の都 長安」
  講師:前 大手前大学教授 秋山進午氏
【日 時】 平成19年11月23日(金) 午後1時30分~午後4時30分
             (受付は午後1時開始)
【主 催】 (財)大阪市文化財協会・大阪歴史博物館
【会 場】 大阪歴史博物館 4階 講堂
【定 員】 250名
【参加方法】 当日先着順
【参加費】 500円
【問合せ先】 大阪歴史博物館 TEL 06-6946-5728(火曜日休館)
 『展示解説』
当館の学芸員と(財)大阪市文化財協会学芸員による展示解説を行います。
【日 時】 平成19年11月10日・17日、
     12月 1日・ 8日(各土曜)、
     12月16日(日)
いずれも午前11時から 30分程度
【会 場】 大阪歴史博物館 8階 特集展示室
【参加費】 無料(ただし、ご入場には常設展示観覧料が必要です)
 『シンポジウム』
財団法人大阪府文化財センター・財団法人大阪市文化財協会・大阪歴史博物館の共催で、弥生時代の竪穴建物についての資料を取り上げ、シンポジウム「弥生人の住まいを探る -長原遺跡・八尾南遺跡・久宝寺遺跡-」を開催します。
【日 時】 平成19年12月16日(日)
 午後1時~午後4時30分(入場は12時30分~)
【会 場】 大阪歴史博物館 4階 講堂
【参加費】 無料(ただし資料代が必要の予定)
【申込方法】 往復はがきによる応募を予定。
詳細は未定につき、内容と開催要項については、別途広報を予定いたします。

おもな展示資料

長原(ながはら)遺跡の弥生土器

  平野区長原遺跡 弥生時代後期

「遠里小野遺跡の古代瓦」詳細へ
 
展示資料数:
 約320点

前期難波宮跡(ぜんきなにわのみやあと)の万葉仮名文(まんようがなぶん)木簡

  中央区難波宮跡 飛鳥時代

「大坂城天守閣の「三葉葵」紋鬼瓦」詳細へ

後期難波宮跡(こうきなにわのみやあと)の重圏文鬼瓦(じゅうけんもんおにがわら)

  中央区難波宮跡 奈良時代

「東高麗橋で見つかった銅吹所の炉」詳細へ

おもな展示資料

長原遺跡の弥生土器

(1) 長原(ながはら)遺跡の弥生土器

  平野区長原遺跡 弥生時代後期

 長原遺跡では、弥生時代後期の竪穴住居が発見され、焼けた土や炭化した木材が見つかったことから、火災に遭って焼け落ちたことが推測されました。土器が住居の中に置かれたままの状態で見つかり、そこには甕(かめ)や高杯(たかつき)、器台(きだい)など、さまざまな種類が含まれていました。住居内の空間利用の状況や、1軒の住居に伴う土器の量・組み合わせなど、弥生時代の住居を考えるうえで重要な資料となるものです。

(2) 前期難波宮跡(ぜんきなにわのみやあと)の万葉仮名文(まんようがなぶん)木簡

  中央区難波宮跡 飛鳥時代

 難波宮跡の南西にある谷の中での発掘調査で、前期難波宮築造に伴う整地層よりも古い地層から、土器とともに木簡が出土しました。万葉仮名文と考えられる墨書が残っており、日本で最も古い例と考えられます。万葉仮名は、これまで7世紀末の天武朝に成立したと考えられてきましたが、今回の発見によって、その年代は大きくさかのぼり、日本史のみならず日本語の歴史を考えるうえでも貴重な成果となりました。

※画像の左側は木簡写真、中央は赤外線合成写真、右側は実測図。
※資料保存のため、下記期間は実物展示、その他はレプリカ展示となりますので、あらかじめご了承ください。
11/21日(水)~26日(月)
12/12日(水)~17日(月)

前期難波宮跡の万葉仮名文木簡
後期難波宮跡の重圏文鬼瓦

(3) 後期難波宮跡(こうきなにわのみやあと)の重圏文鬼瓦(じゅうけんもんおにがわら)

  中央区難波宮跡 奈良時代

後期難波宮跡の築地跡の調査を行ったところ、葺かれていた瓦がまとまって見つかり、その中から難波宮に特徴的な文様である重圏文をもつ鬼瓦が、ほぼ完全な状態で発見されました。これまでに見つかったものは破片が多く、今回の例は貴重な発見です。これまでの出土品との比較から、鬼瓦には大きさの規格が複数あり、建物の規模や格式によって使い分けがなされていたことも推測されました。