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  5. 第59回特集展示「唐絵師・福原五岳-「洞庭湖図屏風」受贈記念-」

(H25.7.18更新)

第59回 特集展示

唐絵師からえし福原ふくはら五岳ごがく
―「洞庭湖どうていこ図屏風」受贈記念―

◆ 平成21年 2月25日(水)~4月6日(月) ◆
毎週火曜日休館(祝日の場合は翌日休)
会場
8階 特集展示室
時間
9:30~17:00(金曜は20:00まで)
※入館は閉館30分前まで
観覧料
常設展示観覧料でご覧になれます
主催
大阪歴史博物館

大阪歴史博物館では、平成21年2月25日(水)から4月6日(月)まで、常設展示場8階の特集展示室において特集展示「唐絵師・福原五岳」を開催します(3月1日(日)と29日(日)には学芸員による展示解説を行います)。

江戸時代の大坂で活躍した絵師の福原五岳(1730~99)は、備後に生まれ、京都へ出て当代きっての文人画家・池大雅いけのたいがに師事して技を磨きました。彼は、当時流行していた中国風の絵を得意とし、特に山水と人物画は右に出るものがないといわれるまでの実力者でした。のちには住まいを大坂に定めて高い評価を得ました。

このたび本館は、池田市在住の福原操ふくはらみさお氏より五岳の代表作「洞庭湖図屏風」の寄贈を受けました。その作品は、中国の名勝・洞庭湖の風景を雄大に描いた屏風であり、上部には大坂の知識人の漢詩サークル・混沌社こんとんしゃや大坂第一の漢学塾・懐徳堂かいとくどうのメンバーによる賛文が書き付けられています。それゆえこの作品は、大坂における文人画の初期作例として絵画史的、文学的にも高く評価されてきました。

本展は、この貴重な屏風の受贈を記念すると共に、福原五岳の画業を通じて、大坂の町人が文化に対して熱心に取り組んでいた様子を紹介します。


期間中の関連行事

『展示解説』

【日時】
平成21年3月1日(日)、3月29日(日)
いずれも午後2時から(約30分間)
【会場】
大阪歴史博物館 8階 特集展示室
【担当】
本館学芸員
【参加費】
無料(ただし、入場には常設展示観覧料が必要です)
【参加方法】
当日直接会場へお越し下さい
【定員】
なし

おもな展示資料

展示資料数:約30点
「大阪実測図」より 四天王寺
洞庭湖どうていこ図屏風 福原五岳筆

安永元年(1772)画 紙本着色 6曲1双 本館蔵(福原操氏寄贈)
四天王寺周辺出土の陶磁器類
陶淵明とうえんめい図 福原五岳筆

紙本墨画 1幅 個人蔵
摂津国四天王寺図
秋海棠しゅうかいどう図 福原五岳筆

絹本墨画 1幅 個人蔵

主な展示資料

洞庭湖図屏風 福原五岳筆

(1)洞庭湖どうていこ図屏風 福原五岳筆

安永元年(1772)画 紙本着色 6曲1双 本館蔵(福原操氏寄贈)

中国の名勝・洞庭湖を描いた作品。洞庭湖の湖岸には、中国の詩人・杜甫とほにより有名になった岳陽楼があり、当時の日本の知識人のあこがれの場所でもあった。本図には広大な洞庭湖が描かれ、上部には中井竹山ちくざん頼春水らいしゅんすいら大坂を代表する学者が詠んだ漢詩が記される。この屏風が制作された頃は、大坂文化がひとつの頂点を迎えていた時期であり、それらを支えた人々が参加していることが本作品をより貴重にしている。


陶淵明図 福原五岳筆

(2)陶淵明とうえんめい図 福原五岳筆

紙本墨画 1幅 個人蔵

中国の漢詩人・陶淵明(365~427)が杖を曳き、遊歩しながら詩を吟じる姿を描く。18世紀後半の大坂では、漢詩を詠むことが教養のある町人の中で盛んになった。本図もそのような背景のうちに描かれた作品。よどみのない流麗な墨線が見どころ。


秋海棠図 福原五岳筆

(3)秋海棠しゅうかいどう図 福原五岳筆

絹本墨画 1幅 個人蔵

墨一色で芙蓉を描いた作品。巧みに濃淡をつけ、単調さを避けるなど五岳の高い技術がうかがえる作品。中国風の山水画や人物画を多く描いた五岳にしては珍しく、身近な草花を描いている。上部の句は蕪村とも交流のあった三宅嘯山しょうざん(1718~1801)による。