1. ホーム
  2. 展示・イベント
  3. 特集展示
  4. 過去の特集展示
  5. 第56回特集展示「新発見!なにわの考古学2008」

(H25.7.16更新)

第56回 特集展示

新発見!なにわの考古学2008

◆ 平成20年 8月27日(水)~10月27日(月) ◆

毎週火曜日休館

会場
8階 特集展示室
時間
9:30~17:00(金曜は20:00まで)
※入館は閉館30分前まで
観覧料
常設展示観覧料でご覧になれます
主催
(財)大阪市文化財協会、大阪歴史博物館

大阪歴史博物館では、平成20年8月27日(水)から平成20年10月27日(月)まで、8階特集展示室において特集展示「新発見!なにわの考古学2008」を開催します。

本展示では、平成19年度に行った大阪市内の遺跡発掘調査の成果から、平野区瓜破うりわり北遺跡で見つかった約2万8千年前の旧石器、阿倍野区阿倍野筋北遺跡で多量に見つかった中世の卒塔婆そとば、大坂城玉造口の調査で見つかった鉄砲玉のほか、本年度、天王寺区細工谷さいくだに遺跡で見つかった奈良時代の和同開珎わどうかいちんのバリ銭など、約350点を紹介します。


<展示コーナー>

  1. 「原始なにわのいとなみ」コーナー
    約2万8千年前の旧石器時代の石器群(瓜破北遺跡)を皮切りに、縄文時代の集石遺構(瓜破北遺跡)、弥生時代の建物跡や井戸から見つかった土器(瓜破・瓜破北遺跡)、古墳時代の土器や埴輪(瓜破遺跡)など、原始なにわのいとなみを探ります。
  2. 「古代都市・難波宮とそのひろがり」コーナー
    難波宮跡公園内での調査成果をはじめ、和同開珎わどうかいちんのバリ銭(細工谷遺跡)、奈良二彩陶器(上本町遺跡)、大型建物と古代瓦(遠里小野遺跡)、墨画土器(長原遺跡)、曲物まげものを使った井戸(西淡路1丁目所在遺跡)など、飛鳥・奈良時代の都市とその広がりをたどります。
  3. 「中世なにわの寺院と祈り」コーナー
    中世なにわに息づく人々の活動を、多量に捨てられた卒塔婆そとば(阿倍野筋北遺跡)や四天王寺・住道廃寺すむちはいじなど、寺院に関連する調査成果から振り返ります。
  4. 「近世の大坂城と城下町」コーナー
    大坂城と城下町を中心に繰り広げられた近世なにわのすがたを、二ノ丸・三ノ丸の調査やそこから出土した輸入陶磁器、鉄砲玉(大坂城跡)、城下町から出土した生活用品(大坂城下町跡)などから考えます。
  5. 「もの・モノ・豆ちしき」コーナー
    ここでは発掘調査で見つかった興味ある遺物の中から、ゆずでんぼ(難波宮跡)、ベンガラ付着の焙烙ほうろく高津御蔵こうづおくら跡)、軒瓦などを取り上げ、それぞれに係わる薀蓄うんちくや資料の見方などを掘り下げて紹介します。
  6. 「大坂蔵屋敷の生活」コーナー
    中之島4丁目所在遺跡で見つかった久留米藩蔵屋敷に関わる陶磁器やさまざまな生活用品などを中心に、江戸時代の蔵屋敷の生活に迫ります。
<本展覧会で扱う遺跡>
長原遺跡(平野区) 瓜破遺跡(平野区) 瓜破北遺跡(平野区)
阿倍野筋北遺跡(阿倍野区) 難波宮跡(中央区) 上本町遺跡(天王寺区)
遠里小野遺跡(住吉区) 西淡路1丁目所在遺跡(東淀川区) 大坂城跡(中央区)
大坂城下町跡(中央区) 天満本願寺跡(北区) 住道寺跡(東住吉区)
中之島4丁目所在遺跡(北区) 高津御蔵跡(天王寺区) 四天王寺旧境内遺跡(天王寺区)

期間中の関連行事

講演会『大阪の歴史を掘る2008』

【演題1】
「平成19年度大阪市内の発掘調査」
【講師1】
(財)大阪市文化財協会 学芸員 平田洋司
【演題2】
「古墳時代の河内と吉備
-岡山県天狗山古墳・勝負砂古墳の調査成果から-」
【講師2】
岡山大学 准教授 松木武彦氏
【日時】
平成20年9月27日(土) 午後1時30分から
【会場】
大阪歴史博物館 4階 講堂
【資料代】
500円
【参加方法】
当日直接会場へお越し下さい
【定員】
250名
【問合せ先】
大阪歴史博物館
TEL 06-6946-5728(火曜日休館)

『展示解説』

当館の学芸員と(財)大阪市文化財協会学芸員による展示解説を行います。

【日時】
平成20年8月30日、9月13日・27日、10月11日・25日(各土曜日)
午後2時から(9月27日は午前11時から)30分程度
【会場】
大阪歴史博物館 8階 特集展示室
【参加費】
無料(ただし、ご入場には常設展示観覧料が必要です)
【参加方法】
当日直接会場へお越し下さい

わくわく子ども教室『和同開珎の拓本でしおりをつくろう』

昔のお金「和銅開珎」のレプリカから拓本をとって、自分だけのしおりをつくってみよう。

【日時】
平成20年 9月15日(月・祝)・23日(火・祝) 10月4日(土)・13日(月・祝)
いずれも午後1時~4時
【会場】
大阪歴史博物館 8階 なにわ考古研究所
【参加費】
無料(ただし、ご入場には常設展示観覧料が必要です)


おもな展示資料

展示資料数:約350点
「約2万8千年前の石器群」詳細へ
約2万8千年前の石器群

平野区瓜破北遺跡 後期旧石器時代
「和同開珎のバリ銭」詳細へ
和同開珎のバリ銭

天王寺区細工谷遺跡 奈良時代
「卒塔婆」詳細へ
卒塔婆そとば(赤外線写真)

阿倍野区阿倍野筋北遺跡 室町時代
「鉄砲玉」詳細へ
鉄砲玉

中央区大坂城跡 江戸時代

主な展示資料

約2万8千年前の石器群

(1)約2万8千年前の石器群

平野区瓜破北遺跡 後期旧石器時代

平野区瓜破2丁目で行われた調査では、今から約2万8千年前の石器を製作した跡が複数見つかった。出土した石器は400点以上にも上り、すべてサヌカイト製である。見つかった小型のナイフ形石器(写真上)では、石刃せきじん技法という特徴的な石割り技術がみられ、この技法を用いた石器としては大阪市内でも最古級の例として貴重である。


和同開珎のバリ銭

(2)和同開珎わどうかいちんのバリ銭

天王寺区細工谷遺跡 奈良時代

天王寺区東上町で出土した和同開珎は、写真のとおり鮮やかな銅色の状態で発見された。鋳造過程でできた湯道の一部が残ったいわゆるバリ銭(鋳放し銭)で、完成品として使用されたものではない。1996・97年度に西約400mで行われた調査では、和同開珎の「枝銭えだぜに」やバリ銭などが見つかっており、付近に未知の鋳造工房が存在する可能性が指摘されている。今回見つかったバリ銭は、その可能性をいっそう推し進める重要な発見といえる。


卒塔婆

(3)卒塔婆そとば

阿倍野区阿倍野筋北遺跡 室町時代

JR天王寺駅の南西で行った阿倍野筋北遺跡の調査では、中世の流路から100点以上の卒塔婆が一括して見つかった。このように卒塔婆が一箇所からまとまって出土する例は全国的にも珍しく、初七日から三十三回忌にいたる追善供養の約500年前のようすを実物で示す貴重な資料といえる。


鉄砲玉

(4)鉄砲玉

中央区大坂城跡 江戸時代

大坂城玉造口のやぐら台上の調査では、櫓に格納していた多くの鉄砲玉が出土した。この建物は慶応4(1868)年1月の戊辰戦争中の火事で全焼しており、鉄砲玉も同時に火を受けたものと思われる。鉄砲玉には直径が1.2㎝から2㎝を超えるものまであり、大きさ・素材がまちまちであることが特徴である。大坂城の歴史のひとコマを物語る貴重な資料といえる。