講演会『大阪の歴史を掘る2008』では、古墳時代の政治史の研究をリードする岡山大学の松木武彦氏に、古墳時代の河内と吉備について講演いただきます。ここでは講演に先だち、概要をご紹介します。

岡山県南部を中心とする吉備は、5世紀前半には河内の大王陵に匹敵する巨大前方後円墳を築いた地域ですが、5世紀も後半になると大型古墳の築造は下火になります。これを、河内を本拠とする雄略大王の政権に抑圧され、衰退したことの反映と考える説がかつては有力でした。しかし、はたしてそれは正しいのでしょうか。
岡山大学では、この「雄略朝」期の吉備の実態を探るために、約10年前から、5世紀後半の古墳を調査する研究プロジェクトを進めてきました。今回主に取り上げる古墳が倉敷市の天狗山古墳と勝負砂古墳です。いずれも帆立貝形古墳で、竪穴式石室から多くの副葬品が出土しています。
講演ではプロジェクトのこれまでの成果をもとに、最新の古代吉備像を語ります。また、地方から中央をみることによって、古墳時代社会の新たな描写にも挑戦したいと思います。
註)以上の記事は松木氏より頂いた文章を基に、当館で作成しました。

【講師:松木武彦(まつぎたけひこ)】
1961年愛媛県生まれ。 なお、松木氏が所属する岡山大学考古学研究室のホームページは以下の通り。その中に松木氏のページや勝負砂古墳の調査概報のページもあります。
http://www.okayama-u.ac.jp/user/arch/index.html

大阪市内では2007年度に38遺跡、79件の発掘調査が行われ、その成果は旧石器時代から江戸時代までの生活・信仰・生産にかかわるバラエティーに富むものでした。ここでは(財)大阪市文化財協会 平田洋司学芸員から、報告に先駆けてどんな成果が上がったか、ちょっと紹介してもらうことにしましょう。
旧石器時代

瓜破北遺跡で2万8千年前の石器を作った跡が見つかりました。石器は主に狩猟や動物の解体などに用いられたようで、必要な際に原石を加工して作られたと考えられています。なお、石器製作には「石刃技法」と呼ばれる近畿地方ではまれな技法が用いられていて、大阪平野では初めての発見です。よく調べてみると、同じ技法が用いられた石器が、長原遺跡でも見つかっていて、台地上を移動する旧石器人の生活を復元する手がかりとなるかもしれません。
古代

近年、住吉区の遠里小野遺跡の調査の進展には目覚しいものがあります。このあたりは、古代寺院である榎津寺(えなつでら)があったとされ、以前の発掘調査では飛鳥時代の楼閣風の立派な建物跡が発見されています。昨年度の2件の調査のうち1件では榎津寺を思い起こさせるたくさんの古代瓦が出土し、もう1件では幅7m、長さ21m以上もある、前期難波宮の朝堂院に匹敵するような大規模な飛鳥時代の建物が見つかりました。
中世

形は変われど、先祖を供養するのは今も昔も同じで、そこには私たちの精神文化が反映されます。阿倍野区の阿倍野筋北遺跡では500年以上前の追善供養のあり方を知らせてくれる遺物が出土しました。それは卒塔婆という墓に立てる細長い板で、発掘調査ではまとめて300点以上見つかりました。寛正2年(1461)から文亀3年(1503)の年号が書かれているものが約20点あることに加え、戒名や回忌を推定させるような文言もあり、室町時代の人たちの来世に祈る姿が目に浮かぶようです。
報告ではこのほかさまざまな調査成果を、普段見ることのできない発掘調査現場のスライドをふんだんに使って紹介します。ひとつの発見が歴史の復元につながっていく様を、どうぞお楽しみ下さい。 (平田 洋司)
| 講演会『大阪の歴史を掘る2008』 | |
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[報告]13:30〜 平田 洋司((財)大阪市文化財協会 学芸員) [講演会]14:45〜 松木 武彦氏 (岡山大学准教授) |
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| 日時 | 9月27日(土) 午後1時30分から4時30分 (1時から受付開始) |
| 会場 | 大阪歴史博物館 4階 講堂 交通のご案内 |
| 定員 | 250名(当日先着順、午後1時より受付) |
| 参加費 | 500円 |