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  5. 第65回特集展示「筆飛将軍」林閬苑 -異色の唐画師-

(H25.7.17更新)

第65回 特集展示

「筆飛将軍」林閬苑
-異色の唐画師-

◆ 平成22年 2月24日(水)~4月5日(月) ◆
毎週火曜日休館
会場
8階 特集展示室
時間
9:30~17:00(金曜は20:00まで)
※入館は閉館30分前まで
観覧料
常設展示観覧料でご覧になれます
主催
大阪歴史博物館

大阪歴史博物館では、平成22年2月24日(水)から4月5日(月)まで、8階特集展示室(常設展示場内)において、特集展示「「筆飛ひっぴ将軍」林閬苑りんりょうえん -異色の唐画師からえし-」を開催します。

絵師の林閬苑(生没年不詳、1770~80年頃に活動)は、いまでこそあまり知られていませんが、当時は大坂では屈指の絵師でした。閬苑は、幼い頃から絵を描き、長じては、大坂における文人画の先駆者福原五岳ふくはらごがく(1730~99)に学び、また、大坂を代表する文人の木村蒹葭堂きむらけんかどうや、京都相国寺しょうこくじの高僧維明周奎いめいしゅうけいとの交友を通じて、さまざまな絵画を学ぶ機会を得ました。

特に安永2年(1773)から安永4年(1775)にかけて、維明の招きに応じて京都へ赴き、名高い寺院に収蔵されている和漢の名画を多数実見したことは、彼の絵画制作に大きな影響を与えました。大坂へ戻ってからは、道頓堀どうとんぼりにかかる幸橋さいわいばしの近くに住み、中国風の絵画を描く「唐画師」として活動しました。「筆飛将軍」と自称し、大胆な筆運びの水墨画は、独特の雰囲気を創出しています。また鮮やかな色彩の花鳥画や美人画は華麗に、そして緻密に描かれており、幅広い技法と画題に通じていたことが分かります。

今から200年あまり前の大坂で活躍した、腕利き絵師の林閬苑に注目した初めての展覧会です。


期間中の関連行事

『展示解説』

第1回 3月13日(土)
第2回 3月20日(土)
【会場】 大阪歴史博物館 8階 特集展示室
【担当】 岩佐伸一(当館学芸員)
【時間】 いずれも午後2時より30分程度
【参加費】 無料(ただし、入場には常設展示観覧券が必要です)
【参加方法】 当日直接会場へお越し下さい

おもな展示資料

展示資料数:約30点
宮女遊戯図 林閬苑筆
宮女きゅうじょ遊戯ゆうぎ図 林閬苑筆

安永7年(1770) 個人蔵
鹿図 林閬苑筆 慈雲飲光賛
鹿図 林閬苑筆 慈雲じうん飲光おんこう

江戸時代 本館蔵
蹴鞠図 林閬苑筆
蹴鞠けまり図 林閬苑筆

江戸時代 個人蔵

主な展示資料

宮女遊戯図 林閬苑筆

(1)宮女きゅうじょ遊戯ゆうぎ図 林閬苑筆

安永7年(1770) 個人蔵

閬苑が、大坂の収集家で文人として名高く、絵も描いていた木村蒹葭堂の作風に似せて描いた作品。淡い色彩や柔らかな雲の表現に、蒹葭堂の作品と通じるところがある。ごつごつと描かれた樹木とは対照的に、水辺で遊ぶ中国風の宮廷女性たちは、細やかな線で繊細な表情が描かれている。


鹿図 林閬苑筆 慈雲飲光賛

(2)鹿図 林閬苑筆 慈雲じうん飲光おんこう

江戸時代 本館蔵

画面いっぱいに描かれた鹿。首から胴にかけては、幅の広い刷毛で一気に描かれている。そのため、下に敷いてあった畳の目が白く浮き出ており、鹿の背にある模様のように見える。本来は、偶然できるはずの「かすれ」や「にじみ」だが、閬苑はさまざまな経験を積む中から、自由自在に表現できるだけの技術を得たようだ。画面の上部には、河内の高僧慈雲が賛を記している。


蹴鞠図 林閬苑筆

(3)蹴鞠けまり図 林閬苑筆

江戸時代 個人蔵

明や清時代の中国絵画を学び、描いた閬苑だが、日本の風俗を題材にした絵も描いている。そのひとつが、この「蹴鞠図」である。
 蹴鞠は、江戸時代の富裕な人々の間で親しまれた娯楽で、大坂の町人たちも楽しんでいた。閬苑は、ただ蹴鞠をしている人々を描いただけではなく、蹴り上げられた鞠を、運悪く顔面で受けてしまった人を描く。
 鞠を蹴り上げた人のはかまは、濃淡を取り混ぜた墨の面を自在に配置することにより、躍動感あふれる表現となっている。