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織田作之助『夫婦善哉』の自筆原稿などを新発見
(H25.9.10更新)

平成25年9月25日(水)から10月18日(金)まで大阪歴史博物館で公開

大阪歴史博物館は、このほど織田作之助生誕100周年記念事業推進委員会によって千葉県内で発見された、織田作之助(1913-1947)の小説『夫婦善哉』の新たな草稿などを平成25年9月25日(水)から10月18日(金)まで同館で開催する特別企画展「生誕100年記念 織田作之助と大大阪」で公開します。

織田作之助の没後、作之助の長姉、故 竹中タツさんが保管していた遺品は、妹の故 西澤登美子(とみこ)さんに引き継がれ、現在では、登美子さんの次女で作之助の養女である織田禎子(ていこ)さんが所蔵しています。遺品の中には草稿類が含まれており、『夫婦善哉』構想当初の鉛筆書き原稿や、『続夫婦善哉』の執筆経過を記した昭和16年(1941)の日記など、およそ10点が新たに発見されました。

今回発見された草稿は、これまで知られていなかったもので、『夫婦善哉』の創作過程を知る上で極めて貴重なものです。また、日記の記述により、現在放映中のNHK土曜ドラマ「夫婦善哉」の原作にもなった『続夫婦善哉』の創作時期が明らかになりました。

公開するおもな新発見資料

『夫婦善哉』草稿

『夫婦善哉』草稿

今回、『夫婦善哉』構想当初の鉛筆書き原稿とペン書き原稿が発見された。鉛筆書き原稿は9枚あり、タイトルは『めをとぜんざい』とかな書きで、モデルにした次姉千代の半生記の色合いが強い書き出しになっている。ペン書き原稿は2種類あり、いずれも蝶子が柳吉を折檻する場面の草稿である。

織田作之助日記

昭和16年(1941)

織田作之助日記

織田作之助の日記は、これまで昭和11年(大阪府立中之島図書館「織田文庫」所蔵)と、昭和13年(『織田作之助全集』所収)の2種類が知られていた。今回発見された昭和16年の日記は、かつて「織田作之助・田中英光・坂口安吾三人展」(毎日新聞社、1969年)の図録に「メモ」として写真掲載されているものと同一であるが、その所在はこれまで明らかではなかった。
 この日記によると、6月10日から『続夫婦善哉』の構想に入り、ほとんど毎日書き続けて、7月4日に脱稿している。『続夫婦善哉』は、平成19年に、川内(せんだい)まごころ文学館(鹿児島県薩摩川内市)の改造社関係資料の中から未発表原稿が発見され、今回のNHK土曜ドラマ「夫婦善哉」の原作としても使われている。その成立年代については諸説あったが、今回の発見で、昭和15年(1940)の文芸推薦を受賞した翌年には、続編を執筆していたことがわかる。
 また、『続夫婦善哉』自筆原稿(川内まごころ文学館所蔵)の一部分にあたる草稿も発見された。


短編集『夫婦善哉』「あとがき」草稿

昭和15年(1940)

織田作之助初の単行本である短編集『夫婦善哉』(創元社刊、昭和15年8月15日)の「あとがき」の草稿も発見された。この本には「夫婦善哉」「放浪」「俗臭」「雨」「探し人」の初期作品5篇が収められているが、「あとがき」の草稿では、「六白金星 昭和15年6月作」を加えた6篇の構想になっている。『六白金星』は、雑誌『文芸』(改造社刊)の昭和15年8月号に発表する予定であったため、同年8月の単行本刊行当初にはこれを含めた短編集を構想していたと考えられる。しかし、『六白金星』は雑誌『文芸』には掲載されず、昭和21年(1946)3月になって、雑誌『新生』に発表されるという数奇な運命をたどった。


織田作之助『夫婦善哉』の自筆原稿などを新発見
公開展覧会名 特別企画展「生誕100年記念 織田作之助と大大阪」
会  期 平成25年9月25日(水)~10月18日(金)
休 館 日 毎週火曜日
会  場 大阪歴史博物館 6階 特別展示室 交通のご案内
開館時間 午前9時30分から午後5時まで(金曜日は午後8時まで)
(ただし、入館は閉館の30分前まで)