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馬の郷土玩具

(H25.10.11更新)

平成25年12月11日(水)~平成26年1月27日(月)予定

毎年のことですが、年末が近づいてくると、「来年の干支は」という話が出てきます。そういえば、もう年賀状の準備も考えなくてはなりません。ということで、平成26年の干支、「午」にちなんで、「馬の郷土玩具」に関するミニ展示をいたします。

館蔵品の宮脇コレクションのなかから、馬に関する郷土玩具をいくつか取り上げてみようと思います。宮脇コレクションというのは、京扇子「宮脇賣扇庵」のご主人が戦前・戦後に収集した郷土玩具のコレクションです。戦前、宮脇氏が郷土玩具の収集をはじめるようになったのは、大正期から昭和戦前期にかけて、京都で「郷土趣味」という活動をしていた田中緑紅(たなかりょっこう)という人物との出会いがきっかけでした。

田中緑江が主宰する郷土趣味社では郷土玩具の頒布会が定期的に開催されていました。その頒布会に参加して宮脇氏は郷土玩具の収集に目覚めたのでした。田中緑紅『伏見人形の話』(緑紅叢書40)によると、京都・北野の宮脇氏の自宅には約1万点を超える郷土玩具が保管されていたようです。宮脇氏が昭和35年11月16日に亡くなったあと、そのなかの1,000点余りが大阪歴史博物館の所蔵となりました。

当館の宮脇コレクションには、全国各地のさまざまな郷土玩具が幅広く含まれています。今回はそのなかから、近畿・中部地方に限定して、馬の郷土玩具を選んでみました。伏見人形の馬に関連したもの、長野市桐原の藁馬、猿駒ひきの絵馬など、干支にちなんだ郷土玩具とその背景の物語に注目しながら、展示の品々をお楽しみいただければ幸いです。(民俗担当・伊藤廣之)

伏見人形 駒乗り神馬(こまのりしんめ)京都市伏見区

宮脇コレクション 近代 本館蔵 高さ16.0cm
伏見人形 駒乗り神馬(こまのりしんめ)
五月の節供飾りの人形です。赤い手綱に、宝珠の腹帯を締め、「金将」の駒の上に乗りかかった姿は、力強さや勇ましさを表現しています。神馬の力にあやかり、男児の健やかな成長を願おうとする親の祈りを表した土人形といえます。

伏見人形 馬ひき三吉(うまひきさんきち)京都市伏見区

宮脇コレクション 近代 本館蔵 高さ21.5cm
伏見人形 馬ひき三吉(うまひきさんきち)
時代物の歌舞伎「恋女房染分手綱」に登場する三吉をモデルした土人形です。芝居では、離ればなれになって馬ひきの仕事をする子ども・三吉と偶然に出会いながらも、母であることを名乗れず、別れなければならない母親の心情が演じられます。馬をひく幼い童子の屈託のない笑顔が、物語を知る者の心を締め付けます。

桐原の藁馬(きりはらのわらうま)長野市桐原 桐原牧神社

宮脇コレクション 近代 本館蔵 高さ21.05cm
桐原の藁馬(きりはらのわらうま)
豊作・商売繁盛・子孫繁栄・交通安全を祈願する桐原牧神社の3月8日の春季例大祭に奉納された藁製の馬です。長野市桐原は古くからの馬の産地で知られ、春季例大祭はもとは良馬の生産を願った大切な神事で、各家から1体ずつ藁馬が奉納されました。現在は保存会が奉納する藁馬が、神社でお祓いを受けたあと、「神馬」として参拝者にくじ引きで授けられます。

猿駒ひき絵馬(さるこまひきえま)名古屋市中区栄 洲崎神社

宮脇コレクション 近代 本館蔵 縦16.1cm×横23.3cm
猿駒ひき絵馬(さるこまひきえま)
洲崎神社はかつて江戸尾張十社の総社的地位にあり、皇室・公家・徳川家からも厚い信仰を受けていました。この絵馬は、江戸時代からの絵柄を引き継いだもので、猿が白馬の手綱をひくユニークな表現になっています。白馬は神の使い、猿は導き役の猿田彦を表しています。祈願成就は間違い無しの絵柄といえるでしょう。
フロア / 7階 コーナー / 都市の民間信仰
7階フロアマップ