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唐画もん-武禅に閬苑、若冲も-
(H27.7.29更新)
資料展示

美人図

墨江武禅筆 個人蔵

インド更紗

武禅は、一説には船頭をしていたともいわれ、のちには月岡雪鼎に浮世絵を学び美人画を描いた。それとともに中国絵画を学び、当時流行していた中国趣味あふれる山水画も得意とした。絵画のほか鍔(つば)などの金工、鉢に山水の縮景を作る占景盤(せんけいばん)も手掛けた多彩な人物である。 本図は、華やかな衣装をまとい、髪は大きく張り出した燈籠鬢(とうろうびん)を結った美人を描く。豪華な着物に多くの髪飾り、前帯を締めるところから遊女であろう。色白の肌にひるがえる衣など艶めいた表現がなされる。

白孔雀図

林閬苑筆 大阪歴史博物館蔵

インドネシアジャワ島緯絣

道頓堀に近い幸町に住んでいた閬苑は、京都の寺院にあった名画を見て研鑽を積んだ。本図は花を開いた牡丹や奇岩、つがいの白孔雀を描く。中国においては牡丹や孔雀は富貴、岩は不変であることから長寿を象徴する吉祥的な事物として、絵画や模様に多く用いられた。よって本図は立身出世、夫婦長命というめでたい事柄を花鳥に託した作品である。主要なモチーフを手前に大きく描き、背景を描かない構図や、動植物を精緻に描く描法などは、江戸時代中期に流行した中国清時代の画家沈南蘋(しんなんぴん)の画風に影響を受けている。

岩菊小禽図(いわきくしょうきんず)

伊藤若冲筆 個人蔵

インドネシア印金バティック

奇想の絵師として名高い伊藤若冲の描く水墨画。濃い墨で奇岩を荒々しく描く一方、菊は、淡墨で穏やかに描かれ対比的である。菊の花びらや葉には、「筋目描き(すじめがき)」とよばれる若冲が得意とした技法が用いられている。これは墨と墨の面の間に白い筋を残す技法で、墨のにじみと紙の性質を熟知していないとうまく表現できない高度な技である。若冲は大坂を訪れ、木村蒹葭堂(きむらけんかどう)ら当地の文化人とも交流した。

後期展示の見どころ

初夏晩意図

墨江武禅筆 個人蔵

インド更紗

<夏の初めの夕涼み>
初夏晩意の題通り、木々は青々とし、中央の岩上に川風を楽しむかのような高士が座る。遠山には赤い残照が映え、夕べの景であることを示す。流れの中にある水門には小舟が帰り着いたようだ。水面に臨む岩や樹は明暗により、立体感が強調される。

月夜江村図

墨江武禅筆 吹田市立博物館蔵

インド更紗

<影絵のような幻想風景>
輪郭線は用いず影絵のように水辺の風景を描く。舟運にたずさわった武禅らしく、舟や、櫓(ろ)や櫂(かい)を使う人などを細やかに描き込む。舟や前景の岸辺、対岸の影が水面に映る一方、中ほどの水面は明るく輝き、月光の織りなす明暗や陰影を強く意識する。

漢功臣図

林閬苑筆 個人蔵

インド更紗

<閬苑独自の癖のある描法>
松樹の下にたたずむ三人の人物。眼光鋭く老練な表情に描かれ、箱書に「漢功臣之図」とあるが名は比定できない。顔の輪郭線や衣文線は途切れたり、変化しながら複雑に描かれており、整った線描の人物画を得意とした師の五岳とは一線を画す描法である。

睡起未顔粧之図

墨江武禅筆 個人蔵(通期展示)

インド更紗

<窓からのぞく中国美人>
江戸時代中期には多くの円窓美人図が描かれ、中国の文人趣味を反映していると指摘される。華麗な衣服や侍女の多さから、高位の女性であろう。閬苑自筆の画題から、寝起きで化粧前の女性を描いたことがわかる。

鵞鳥図

伊藤若冲筆 個人蔵(通期展示)

インド更紗

<鵞鳥の体にみなぎる力>
ほぼ同画題の「動植綵(どうしょくさい)絵(え) 芦鵞図」(宮内庁三の丸尚蔵館)にはあった水と岸の境を描かず、芦も斜め上から垂れ下がるのみで簡略化されている。「千画絶筆(せんがぜっぴつ)」印の最初期の作品と推定される。閬苑の描く水鳥に比べて繊細な印象を受ける。

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