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(H31.1.21更新)

第123回 特集展示

なにわ人物誌 三好木屑

◆2019年3月20日(水)~5月6日(月・振休)◆

火曜日休館(ただし、4月30日(火)は開館)

会場 8階 特集展示室
時間 9:30~17:00
※入館は閉館30分前まで
観覧料 常設展示観覧料でご覧いただけます
主催 大阪歴史博物館
協力 戸田政とだまさ商店

大阪歴史博物館では、2019年3月20日(水)から5月6日(月・振休)まで、8階特集展示室において、特集展示「なにわ人物誌 三好木屑(みよしもくしょう)」を開催します。

三好木屑(弥次兵衞(やじべえ)、1874~1942)は、祖父の代から三代にわたり活動した大阪の指物師(さしものし)で、也二(やじ)、知孫(ちそん)の号でも知られます。二十代の頃には茶道具の収集で知られた豪商・千草屋(ちくさや)へ通い、同家が所有する茶道具の棚を詳細に調査して自身の指物製作に活かしました。また千草屋の当主であった平瀬露香(ひらせろこう)(1839~1908)の薫陶を受けて、茶道・煎茶・書画・和歌・漢詩・俳句など幅広く芸道の修養を積みました。

木屑の仕事で特筆すべきは、指物師でありながら髹漆(きゅうしつ)、蒔絵(まきえ)などの漆作品の製作に積極的に挑み、成功させたことでしょう。帝室技芸員(ていしつぎげいいん)・柴田是真(ぜしん)(1807~1891)が復活させたことで知られる青海波(せいがいは)塗や砂張(さはり)塗などの、あたかも金属のように見える漆の塗布技法などを会得し、さまざまな道具類を製作しました。しかしこれらの漆作品の製作は、木屑にとってはあくまでも「余技」でした。

本展は、昭和戦前期までの大阪を舞台に活躍した指物師・三好木屑の歩みを振り返る初めての展覧会です。

関連行事

学芸員による展示解説
【日 時】 2019年3月30日(土)、4月29日(月・祝)
いずれも午後2時から30分程度
【会 場】 大阪歴史博物館 8階 特集展示室
【講 師】 中野 朋子(当館 学芸員)
【参加費】 無料(ただし、入場には常設展示観覧券が必要です)
【参加方法】 当日直接会場へお越し下さい

※イベントの内容は都合により変更される場合があります。ご了承ください。


主な展示資料

展示資料数:約50点(予定)

淀川舟板煙草盆 三好木屑作 大正~昭和初期(20世紀初) 個人蔵
淀川舟板煙草盆(よどがわふないたたばこぼん) 三好木屑作
大正~昭和初期(20世紀初め) 個人蔵

 かつて淀川の水運を担った舟の舟板を用いて作られた煙草盆。武者小路千家十二代家元・愈好斎聴松(ゆこうさいちょうしょう)(1889~1953)が好み、木屑が製作しました。愈好斎はこの煙草盆の風情からその姿を苫屋(とまや)に、板の節が抜けた部分をその窓に見立て、背面に漢詩と花押を書き付けています。

仁清写鶴香合 三好木屑作 明治末期~昭和初期(20世紀初) 個人蔵
仁清写鶴香合(にんせいうつしつるこうごう) 三好木屑作
明治末期~昭和初期(20世紀初め) 個人蔵

 うずくまり、首をやや横に傾けた鶴の姿は、野々村仁清の「鶴香合」を写した作品。もとになった作品は住友家伝来の「鶴香合」の可能性が高く、やや黄味がかった白色の釉薬の色合いをはじめ、首・羽根先・足には黒色、頂部には丹頂鶴を象徴する朱色に金彩を添えて表現する点や蓋裏と底を露胎にする点に至るまでよく写しており、一見したところでは漆作品とは判別できない、精度の高い仕上がりとなっています。

香茶棚物図誌 三好木屑筆写 明治35年~36年(1902~1903) 個人蔵
香茶棚物図誌(こうちゃたなものずし) 三好木屑筆写
明治35年~36年(1902~1903) 個人蔵

 木屑は、茶道具の収集で知られた両替商・平瀬家の当主・平瀬露香(1839~1908)の知遇を得て平瀬家所蔵の棚物の多くを実見、採寸して記録しました。本史料はその集成で、86図が収められています。奥書に明治35年10月から翌36年11月にかけての一年余をかけて作品を実見して記録したことが記されていることから、同時点で平瀬家が所有していた棚物の記録としても大変に貴重な史料といえます。