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(2020.8.31更新)

第133回 特集展示

大阪の灯火具

◆令和2年11月11日(水)~ 令和3年1月11日(月・祝)◆

火曜日、年末年始(12月28日~1月4日)休館

会場 8階 特集展示室
時間 9:30~17:00
ただし、11月13日(金)~12月11日(金)の毎金曜日は午後8時まで開館
※入館は閉館30分前まで
観覧料 常設展示観覧料でご覧いただけます
主催 大阪歴史博物館、一般財団法人大阪市文化財協会

大阪歴史博物館では、令和2年11月11日(水)から令和3年1月11日(月・祝)まで、8階特集展示室において、特集展示「大阪の灯火具」を開催します。

人類が最初に得た明かりは落雷など自然発生的な火でしたが、発火道具の発明と燃料の確保により、人々は自由に明かりを使えるようになりました。明かりは人々の夜間活動を可能にし、灯火具の普及はまちの繁栄をしめす一つの要素となりました。大阪市内の遺跡からも、まちの発展とともにさまざまな灯火具が見つかっています。

今回の特集展示では、大阪市文化財協会・大阪市教育委員会による大阪市内の発掘調査で見つかった、奈良時代から江戸時代にかけての灯明皿や発火道具などの考古資料をはじめ、当館所蔵の民具や文献資料をあわせて展示し、古代から近世にかけて大阪に暮らした人と明かりのかかわりを紹介します。

本展覧会は、地方独立行政法人 大阪市博物館機構・一般財団法人 大阪市文化財協会による包括連携協定に基づいて共催する事業です。


主な展示資料

展示資料数:約250件
古代の灯明皿
古代の灯明皿
奈良時代(8世紀中葉)
長原遺跡 大阪市教育委員会蔵

奈良時代の灯火には、土師器はじき須恵器すえきの灯明皿が使われました。土師器の灯明皿は食器の皿と同じ形をしていますが、須恵器の灯明皿は口縁部を強く外反させた特徴的な形のものが多く、中国や朝鮮半島の影響を受けた灯火専用の器と考えられます。灯心とうしん痕はいずれも幅1センチメートルほどのものが多く、灯心は一定の幅をもった布製であったようです。燃料はゴマやエゴマの油が使われたことが正倉院しょうそういん文書などからわかります。

近世の灯火具
近世の灯火具
江戸時代(19世紀前半)
中之島蔵屋敷跡 大阪市教育委員会蔵

江戸時代には土師器、軟質施釉なんしつせゆう陶器、関西系陶器、瀬戸美濃焼、備前焼など、さまざまな材質の灯火具が使われました。形も灯明皿・受皿のほかに秉燭ひょうそくやカンテラなど、灯火を扱いやすく工夫したものが普及し、灯明台や行灯あんどんの中に置いて使われました。燃料は菜種油などで、藺草いぐさずいを利用した灯心で明かりを灯しました。江戸時代の大阪は菜種油の産地でもあり、全国に油を供給していました。

把手付き秉燭
把手とって付き秉燭ひょうそく
江戸時代(19世紀前葉)
恵美須遺跡 大阪市教育委員会蔵

肥前陶器の秉燭です。高い脚部と把手が付き、持ち運びに便利な形をしています。片方に開いた口の中に灯心を持たせかけて点火しました。秉燭とは「手に持つ明かり」という意味で、碗形、皿形、蝋燭ろうそく形、台付きや蓋付きの壺形など、さまざまな形が作られました。碗形秉燭の底部には、燭台しょくだいの心棒に固定するための穴があけられています。

丸行灯
丸行灯まるあんどん 
江戸~明治時代(19世紀)
大阪歴史博物館蔵

平面形が丸い行灯を丸行灯といいいます。上部から吊るした金具の先に灯明皿を置き、和紙を貼った円形の火袋ひぶくろを回転させて光量を調節します。台座には大きく平たい油皿あぶらざらを置き、灯明皿から垂れる油を受けたり油差しを置いたりしました。台座の内部には灯心や火打金ひうちがねなど灯火道具を収納できます。電気やガスの明かりが普及するまで、行灯は一般家庭で明治時代になっても使われていました。