大阪歴史博物館では、平成20年12月25日(木)から平成21年2月23日(月)まで、8階特集展示室において、「大阪町めぐり 四天王寺―大阪のもうひとつの都市空間―」を開催します。
本展覧会では、四天王寺を中心とする地域の歴史にかかわる考古遺物、古文書、絵画など約50点を展示し、大阪においてこの地域が独自の歴史をもっていたことを紹介します。
四天王寺は大阪を代表する寺院で、古代の創建以来、多くの人びとの信仰を集めてきました。そのため、四天王寺には仏教関係の優れた遺品が多数伝わっています。
しかし、大阪の歴史における四天王寺の重要性はそうした仏教信仰にとどまりません。古代では難波宮を核として計画された難波京の南端を占める中核施設であり、また中世では上町台地の中心的な宗教都市を形成し、そして豊臣秀吉の大坂城下町建設に際しても南端の要として位置づけられました。さらに江戸時代になると、都市大坂の近郊地にある信仰を交えた遊興地として大坂町人に親しまれ、現在に至っています。今は大阪市内に含れる四天王寺ですが、長い間、いわゆる大阪(中心部)から少し離れた独自の空間を形成していたのが四天王寺とその周辺地域だったのです。
当館では常設展示の中世部分で四天王寺の紹介をおこなっていますが、本展では、四天王寺とその周辺地域をひとつの都市空間とみなし、大阪市域のなかで果たしてきた役割について通史的に紹介し、四天王寺の歴史がもつ意義を地域史の立場から考えます。大阪のなかにはこのように独自の歴史をもった地域が少なくありません。今回の展示が、来館者が豊かな大阪の歴史像を理解していただく機会となることを望みます。