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近代大阪職人図鑑―ものづくりのものがたり―
(H28.4.25更新)
資料展示

冬瓜大香炉(とうがんだいこうろ)

村上盛之(むらかみもりゆき) 明治39年頃 清水三年坂美術館蔵

冬瓜大香炉

村上盛之は弘化3年(1846)萩生まれ。明治初年に東京へ出て、刀装金工の流れを汲む海野盛寿(うんのもりとし)に学んだ。明治26年に大阪・天下茶屋の古刹正圓寺(しょうえんじ)そばに移り住み、同地で製作活動を行った。この作品はさまざまな色を発する金属の組み合わせと彫金技術だけで花や虫を生き生きと表現した、盛之渾身の作である。

龍自在置物(りゅうじざいおきもの)

穐山竹林斎(あきやまちくりんさい) 大正~昭和初期 清水三年坂美術館蔵

龍自在置物

(参考)今回揃って展示される白い龍自在置物
穐山竹林斎 大阪歴史博物館蔵
(西條敏弘氏寄贈)

龍自在置物

穐山竹林斎は明治22年に生まれ、大阪・粉浜で木彫製作を行った。置物や仏像も残したが、異彩を放つのが木製の龍自在置物である。自在置物とは、体の各部がまるで生き物そのもののように動かせる細工を施した工芸品を言うが、そのほとんどが金属製であり、木製品は異例である。1作品作るのに2年を要したと書き残しているように、大変手間と時間を要する作品であったため、数点しか残されていない。それらは本作のように着色された「黒龍」と白木の「白龍」に大別されるが、今回、初めて黒龍と白龍揃っての展示が可能となる。

刀 銘 明治三十一年十一月日 日本美術協会大阪支会技芸員月山貞一
依日本美術協会大阪支会嘱謹鍛之

明治31年 東京国立博物館蔵 Image : TNM Image Archives

刀 銘 明治三十一年十一月日 刀 銘 明治三十一年十一月日

初代月山貞一(がっさんていいち)は天保7年(1836)生まれ。後に帝室技芸員に任ぜられる大阪の名工である。この刀は大阪での陸軍大演習にともなう行幸の際の献上品として、日本美術協会大阪支会から依頼され製作したもの。冴えた地鉄(じがね)と粒子がきらめく刃文、品格ある刀身彫刻といったすべてが最高水準で仕上げられている。日本美術協会会長の佐野常民より明治天皇に献上された。

ハンネラ写し茶器

三好木屑(みよしもくしょう)(弥次兵衛(やじへい))
昭和初期 公益財団法人阪急文化財団 逸翁美術館蔵

ハンネラ写し茶器

三好木屑(弥次兵衛)は明治7年、大阪の指物(さしもの)師の一家に生まれた。指物の技術はもちろん漆芸にも秀で、変わり塗り技法を用いて金属や焼き物の質感を木地上に表現することを好んだ。ハンネラとは東南アジアで焼かれた土器の壺で茶の湯の道具に好んで用いられるが、この茶器は木をごく薄く削り出す指物の技法と着彩だけで土器の質感を表現した、驚くべき技巧の作品である。

【初公開】鶺鴒(せきれい)

山本杏園(きょうえん) 明治34年 大阪歴史博物館蔵(森田和子氏寄贈)

鶺鴒 山本杏園

山本杏園は明治2年大阪生まれ。奈良の著名な彫刻家・森川杜園(もりかわとえん)の孫で、祖父杜園と伯父の森川杏園から彫刻を学んだが、作品・人物ともにこれまで全く知られていなかった。この作品は、大阪で薩摩焼工房を率いた藪明山(やぶめいざん)家に残されていた品で、藪明山作品とともに当館に寄贈されたもの。木彫彩色で愛らしい鶺鴒を表した佳品である。今回初公開。

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