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(H29.11.13更新)

第116回 特集展示

ほのぼの俳画、生田南水

◆平成30年1月10日(水)~ 2月26日(月)◆

火曜日休館

会場 8階 特集展示室
時間 9:30~17:00
※入館は閉館30分前まで
観覧料 常設展示観覧料でご覧いただけます
主催 大阪歴史博物館

大阪歴史博物館では、平成30年1月10日(水)から2月26日(月)まで、8階特集展示室において特集展示「ほのぼの俳画、生田南水」を開催します。

生田南水(いくたなんすい)(1860~1934)は、名は宜人(よひと)、通称を福太郎、別号を夜雨荘・百済・鹿鳴草舎などと称し、現在の天王寺区にあった上之宮の神官を勤めていた家に生まれました。南水は、日本の歴史や国学、和歌や俳句などに通じ、当時の大阪を代表する博学者として知られていました。彼の活動は、新聞雑誌への寄稿や『四天王寺と大阪』(明治43年)の出版、さらには芦辺踊や浪花踊(いずれも大阪の芸妓による歌舞)の作詞など幅広く見られます。また多数の俳画を残しており、それらは軽妙な筆致や穏やかな彩色による絵と流麗な書体がみごとにマッチした作品となっています。現代において南水は、女流画家生田花朝(かちょう)の父として名前が挙げられますが、その作品がまとまって紹介されることはありませんでした。

本展では、大阪市内在住の有本幸子様よりご寄贈いただいた南水の俳画を主とし、あわせて絵と文字が一体となった書画の作品、いわゆる画賛物(がさんもの)のうち大阪に縁(ゆかり)のある作品を展示します。南水の描いた温かみあふれる俳画とともに、近世から近代に至る人々が手がけた文字と絵画のコラボレーションをお楽しみいただければ幸いです。

関連行事

学芸員による展示解説
【日 時】 平成30年1月20日(土)、1月28日(日)
いずれも午後2時から30分程度
【会 場】 8階 特集展示室
【講 師】 岩佐 伸一(当館学芸員)
【参加費】 無料(ただし、入場には常設展示観覧券が必要です)
【参加方法】 当日直接会場にお越しください

※イベントの内容は都合により変更される場合があります。ご了承ください。


主な展示資料

展示資料数:約30件
七月乞巧奠自画賛 生田南水筆
七月乞巧奠自画賛 生田南水筆
19~20世紀 大阪歴史博物館蔵(有本幸子氏寄贈)

南水の俳画には、四季折々の行事や風物など季節感をよく表す作品が多く見られます。乞巧奠(きっこうでん)(「きこうでん」とも)を描いた本図もそのような作品のひとつです。乞巧奠とは、七夕に際して織姫星に供え物をし、裁縫や書道の上達を願った祭事をいいます。本図には母と娘と思しき女性が二人描かれ、母は糸巻を、娘は筆と硯や短冊、色紙を前にしています。賛には「松むし(虫)の琴にひそむや星逢ふ夜」との南水の句が記され、「星逢う夜」つまり牽牛星と織女星が逢う七夕を詠むところからも、本図が七夕にちなむ光景を描いていることがわかります。

白河関自画賛 大伴大江丸筆
白河関自画賛 大伴大江丸筆
享和2年(1802) 大阪歴史博物館蔵

 大伴大江丸(おおとものおおえまる)(1722~1805)は、大坂の飛脚問屋・嶋屋の主人です。与謝蕪村らと交流し、松尾芭蕉が創出した俳諧の作風への回帰を目指した蕉風復興運動にも関わりました。本図は、平安時代の僧侶で和歌に優れていた能因法師(のういんほうし)が詠んだ歌「都をば霞とともにたちしかど秋風ぞ吹く白河の関」にちなんだ作品です。大江丸は秋に陸奥の白河関を訪れた能因はさぞかし寒く、くしゃみをしたであろうとのおかしみを込めて偲んだ句「能因にくさめさせけり関の秋」を記し、飄々とした線と墨のにじみを併用して関所の様子を描いています。

いかのぼり自画賛 食満南北筆
いかのぼり自画賛 食満南北筆
20世紀 大阪歴史博物館蔵(萬谷久行氏寄贈)

 食満南北(けまなんぼく)(1880~1957)は、大阪堺の人。坪内逍遥や大阪の小説家村上浪六につき、のちには歌舞伎役者中村鴈治郎の座付き作者として活動し、歌舞伎や戯曲、随筆などを多く残しました。本作品の最も上には奴凧を描き、新春の空に高く上る様子を縦長の画面をうまく活かして表しています。賛は「どこまでも のぼりますべい 春の風」。おしゃれな横縞の表具裂が、余白の多い画面を引き締めているかのようです。