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建てる -大阪職人の道具と技-

(2021.2.4更新)

2021年2月17日(水)~4月12日(月)

大阪歴史博物館では、常設展示10階・9階・7階の各所において、「建てる-大阪職人の道具と技-」を共通テーマに館蔵資料の展示をいたします。いずれも常設展示観覧料でご覧いただけます。この機会にぜひご観覧ください。

古来より海に開けた大阪は、大陸の先進技術を最も早く吸収し、展開する場所でありました。建築技術は四天王寺建立に始まり、難波宮、大坂城造営を経て現在へとつながっています。今回は、2020年12月に「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを記念し、当館所蔵品の中から、伝統的建築技術にかかわる道具、建具雛形、指図、考古資料などを展示いたします。


7階 美術工芸の諸相
【職人の技巧と美】建具たてぐ雛形ひながた
展示期間:2月17日(水)~4月12日(月)
建具(障子・欄間)雛形
建具(障子・欄間)雛形
大正11年~昭和元年
本館蔵(江戸重徳氏寄贈)

この資料群は、戦前に大阪市東区(現・中央区)で建具店「江戸重」を営んでいた江戸重太郎氏が所用していたもので、注文を受ける際の見本として用いられました。雛形の大きさは実際の建具を20センチほどに縮小して造られています。素材の質感を活かしつつ、緻密に細工された雛形から、職人の優れた技巧が感じられます。また、その装飾を見ることで、大正から昭和初期に商家でどのような意匠が好まれたのかがわかります。本展示では、計86点の雛形のうち、その一部をご紹介します。(俵)

7階 近代都市の建設
【美と技を生み出す職人道具】建具製作用具
展示期間:2月17日(水)~4月12日(月)
建具製作用具
建具製作用具
大正~昭和
本館蔵(江戸重徳氏寄贈)

建具制作用具は戦前から大阪市東区(現・中央区)で建具店「江戸重」を営んでいた江戸重太郎氏が建具を作る際に使っていたものです。道具の種類は多種多様で、木材の表面を加工する かんなは36点もあります。また木材表面に線を引く罫引けびきは手に馴染むように用具そのものを加工した痕跡が見え、職人がどのように制作用具を使用していたのかをみることができます。(阿部)

7階 近代都市の建設
【建築完成を願う大工の儀式】上棟式じょうとうしき道具
展示期間:2月17日(水)~4月12日(月)
上棟式道具
上棟式道具
二代金川新助所用
明治時代
本館蔵(金川武二氏寄贈)

二代金川かながわ 新助は大阪市南区塩町(現・中央区)の大工棟梁でした。明治時代以降の金川は、それまでの町屋建築や社寺建築に加えて近代建築の事業を請け負うようになりますが、中でもレンガ造建築を得意としました。第五回内国勧業博覧会では植物温室や奏楽堂の建設に関わっています。また同時に江戸時代以前から継承されてきた大工による建築の儀式(地鎮祭や上棟式)も続け、儀式用の大工道具である 墨壺すみつぼ手斧ちょうなが大切に同家へ伝えられました。(阿部)

9階 まちの生活
【人々の信仰を集めた《四天王寺》】「輿上よじょう清雅せいが」より四天王寺
展示期間:2月17日(水)~4月12日(月)
「輿上清雅」第三巻より 四天王寺
「輿上清雅」より 四天王寺
「輿上清雅」第三巻所収
竹沢養渓筆
江戸時代
本館蔵

天明8年(1788)に御所再建のため江戸と京を往復した老中・松平定信(1758~1829)が、途中の景勝地や社寺を画家・竹沢たけざわ養渓ようけい(?~1808)に描かせた絵巻のうちの一図です。享和元年(1801)、落雷によって五重塔・金堂をはじめとする伽藍がらんが全焼する以前の四天王寺の威容を伝えています。(中野)

9階 まちの生活
【寺院建立を支えた瓦】神咒寺かんのうじ灌頂堂かんじょうどう瓦笵がはん
展示期間:2月17日(水)~4月12日(月)
「神咒寺灌頂堂」瓦笵
「神咒寺灌頂堂」瓦笵
瓦屋町遺跡出土
江戸時代
大阪市教育委員会蔵

瓦の生産は、建物と密接に関わる技術の一つです。瓦笵がはんとは、瓦に文様をつけるための型のことです。この瓦笵は軒丸瓦のきまるかわら瓦当がとう面の型で、江戸時代における瓦の一大生産地であった瓦屋町遺跡(大阪市中央区)の、瓦生産に伴うごみを捨てるための穴の中から出土しました。「神咒寺かんのうじ灌頂堂かんじょうどう」の銘文から、兵庫県西宮市の甲山かぶとやま大師だいし・神呪寺に納める瓦のための瓦笵と考えられます。(岡本)

10階 特設展示コーナー
【難波の独創的デザイン】後期難波宮の重圏文鬼瓦
展示期間:2月3日(水)~4月12日(月)
重圏文鬼瓦
重圏文じゅうけんもん鬼瓦
難波宮跡出土
奈良時代
大阪市教育委員会蔵

鬼瓦とは、大棟おおむね降棟くだりむね隅棟すみむねの端に用いられる飾り瓦のことです。その役割は、棟の端を塞ぐことで風雨から棟を保護するとともに、その部分を飾るところにあります。古代には蓮華れんげ文や獣身じゅうしん文、鬼面きめん文などの文様が一般的に用いられましたが、後期難波宮では重圏じゅうけん文という特徴的な文様の鬼瓦がみつかっています。凸線が三重にめぐる独特な造形で、軒瓦とともに後期難波宮の造営時に新しく採用されたデザインと考えられています。(李)

7階 都市の民間信仰
【職人と信仰】土蔵雛形
展示期間:2月17日(水)~4月12日(月)
土蔵雛形
土蔵雛形
大正~昭和戦前期
本館蔵(大野豊次氏寄贈)

この資料は、大阪市福島区野田でかまどや土蔵を造ってきた大野家3代目、乕一とらいち氏が製作したものです。板に漆喰を塗り造られた雛形には、磨かれた技術の片鱗がみえます。正月になると扉を開き、雑煮などを供えてミーサン(巳さん)をまつって家業繁栄を祈ったといいます。ここには、ヘビを財神、また家屋・土蔵の守護神とする民間信仰が透けて見えます。つまり、この雛形は模型である以上に、神棚としての性格が強かったと考えられます。職人の確かな手業てわざは、日々の修練だけでなく、素朴な祈りによっても支えられてきました。(俵)


フロア / 10階 コーナー / 特設展示コーナー
10階フロアマップ

フロア / 9階 コーナー / まちの生活
9階フロアマップ

フロア / 7階 コーナー / 美術工芸の諸相 / 近代都市の建設 / 都市の民間信仰
7階フロアマップ