大阪湾沿岸部で出土した壺

古墳時代中期（5世紀）
浪速区　船出遺跡
大阪市教育委員会蔵

船出遺跡では、古墳時代に当地が海岸線付近であったことを示す砂層と、人々の活動を示す新たな痕跡が見つかりました。古墳時代中期頃の大阪周辺で作られた土器や須恵器のほか、朝鮮半島よりもたらされた土器が出土しており、当時の国際交流の一端をうかがわせます。本資料は、日本国内では類例がほとんどない壺で、初期に作られた須恵器の可能性がありますが、一方で朝鮮半島のものの可能性もあります。

漆が付着した須恵器

飛鳥時代（7世紀）
中央区　難波宮跡
大阪市教育委員会蔵

難波宮跡（中央区上町1丁目）の調査では、前期難波宮が造営された飛鳥時代に埋め立てられた谷や、難波宮に関連する建物の柱跡が見つかっています。ここでは漆が付着した須恵器が出土しており、付近に工房があったことを示しています。
　写真左は壺または𤭯はそうの底部、右は坏つき蓋です。どちらも内面に漆が付いており、実際に漆を塗るときの取り皿として使用された可能性があります。

豊臣期大坂城詰ノ丸で見つかった石垣（パネル展示）

織豊期（16世紀末～17世紀初頭）
中央区　大坂城跡
写真提供：大阪市文化財協会

豊臣期大坂城最上段の詰ノ丸つめのまる南東角にあたる石垣が、現在の大阪城天守南東の調査で見つかりました。元和10年（1624）に始まった徳川幕府による本丸再築工事によって地中に埋められてしまったものです。石垣の最上部は徳川期に壊されているものの、高さ約5.9mが残存しています。自然石を積み上げる野面のづら積みで、南面（写真左面）は詰ノ丸入口である黒鉄門くろがねもんにいたる主通路側に面しています。また、中ノ段では大坂夏の陣で被災した礎石建物や石組溝が発見されています。本展では石垣周囲で出土した金箔瓦なども展示します。

宝永ほうえい地震に伴って廃棄された陶磁器など

江戸時代後期（17世紀末～18世紀初頭）
北区　野崎町所在遺跡
大阪市教育委員会蔵

扇町公園南側の野崎町所在遺跡では、大きな穴から日用の陶磁器・土器など8千点以上の遺物が出土しました。写真はその一部で、食卓で使う碗や皿、仏飯具、硯すずりなどです。これらは、宝永4年（1707）の秋に起こった大地震で、大坂が大きな被害を受けた際にまとめて捨てられたものです。地震で壊れた壁や床の修理に用いる砂を採るため、町はずれに大きな穴を掘り、さらに割れた陶磁器などを捨てるゴミ穴として利用したのでしょう。