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(2022.9.16更新)

第145回 特集展示

大阪近郊の農業
―農具とわざの諸相―

◆ 令和4年 11月16日(水)~ 令和5年 1月23日(月)◆

火曜日休館、年末年始(12月28日~1月4日)

会場 8階 特集展示室
時間 9:30~17:00
※入館は閉館30分前まで
観覧料 常設展示観覧料でご覧いただけます
主催 大阪歴史博物館

大阪歴史博物館では、令和4年(2022)11月16日(水)から令和5年(2023)1月23日(月)まで、8階特集展示室において特集展示「大阪近郊の農業 ―農具とわざの諸相―」を開催します。

大阪の周辺地域ではイネやムギといった穀物はもとより、野菜や果実、綿花、花卉かき(草花)などの換金作物も生産されました。これらは、平野や山間部、低湿地域など、その地域ごとの特性を踏まえ作られてきたものです。また、多種多様な作物生産の営みに呼応するように、農具や農業技術も高められていきました。この展示では、農具や写真、地図などの関連資料から、近郊地で営まれたさまざまな農業について、その展開、農具の仕組みや職人の技、さまざまな環境に対応する農の知恵を紹介し、その歴史や変遷を考えます。


主な展示資料

展示資料数:約20件
『五畿内産物図会』
『五畿内産物図会』
文化10年(1813)
大阪歴史博物館蔵

『五畿内産物図会』は、大坂で活躍した画家・大原おおはら東野とうやの著した名物図会です。摂河泉各地域の物産を紹介する本書には、土産物や加工品などのほか、大坂の近郊地で育てられた作物も掲載されています。馴染み深いダイコンやニンジン、ナスなどの野菜や花卉、タバコ、なかには現在「なにわ伝統野菜」に選出されている吹田すいた慈姑くわいなどもみえます。また、稲田いなだももなど一度は失われてしまい、今日、復活栽培が進められているものも描かれています。

『五畿内産物図会』
『大阪府写真帖』より「木部きべの牡丹畑」
大正3年(1914)
大阪歴史博物館蔵

大阪の近郊地では、都市部への販売を目的とした花卉や植木の栽培が営まれました。大阪府池田市は、江戸時代から「木部の牡丹」栽培の地として広く知られてきました。北摂地域に分布する透水性の高い土壌を背景に、花卉・植木栽培が隆盛したのです。今日、池田市ではボタン以外にもさまざまな植木が作られ続けています。写真帖にはこのほか、「堅下かたしも葡萄園」や「和泉の蜜柑畑」など、現在に連なる農の風景がおさめられています。

『大阪府写真帖』より「木部の牡丹畑」
京屋唐箕とうみ
嘉永4年(1851)
大阪歴史博物館蔵

唐箕は、風力によってコメなどの穀物と塵芥を選別する農具です。唐箕の主柱には「大坂農人橋 京屋七兵衛」と書かれ、本資料が農人橋(現:大阪市中央区農人橋)の農具商・京屋により製作されたものとわかります。京屋は文政5年(1822)刊行の農書『農具便利論』のなかで、踏車ふみぐるまの製作者として紹介されます。また、本資料には「嘉永四年」の紀年銘も認められます。京屋唐箕は西日本に分布する唐箕の源流とされ、近畿を中心に数多く存在します。しかしながら、近世紀年銘を有するものは少なく、本資料は流通の実態を把握するうえで貴重な事例といえます。

>源五兵犂(からすき)
源五兵衛げんごべえからすき
大正~昭和時代
大阪歴史博物館蔵

ウシやウマの力を用いず、人が牽引する人力じんりきすきの一種です。把手を持ち、腰に縄を掛け後ずさりしながら畑を耕し、うね立てを行いました。通常、畑の畝立てや土寄せはすきくわを用います。しかし、広大な耕作地で規格化された農業を営む大阪では、一度にむらなく耕すことができる源五兵衛犂は重宝されたようで、『農具便利論』では「京や大坂周辺にみられる」とあります。また、これをふたつ並べた「二丁掛にちょうがけ」や、犂床りしょう(地面に接する部分)を小さく作るものなど、さまざまな人力犂が発明されました。いずれも、大阪の先進農業を象徴する農具です。