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大阪の近代化と町 ―水帳から公文書へ―
(R2.10.26更新)
資料展示
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近江町おうみちょう会議所かいぎしょ詰書づめしょ物入ものいれ(部分)

明治2年(1869)頃 個人蔵

近江町会議所詰書物入(部分)

明治2年5月、大阪府は大阪市中に東西南北の四つの大組おおぐみ(行政区画)を新設しました。これにともない、各大組の下に10ヵ町ほどの町を組み合わせた町組ちょうぐみが新設され、町組ごとに会議所という議会が設置されます。この書物入は、東大組十七番組という町組に設置された会議所に、十七番組に所属していた近江町(現中央区)が町の「書物」を保管するために置いたものと推測されます。明治2年5月の市制改革は、町組という町よりも広い行政区画に会議所を新設することによって、江戸時代以来の町の解体を目指したものと評価されています。しかし、その会議所でも町ごとに「書物」が保管されていたのですから、町の単位性は保持されていたことがわかります。


大阪市中地区町名改正絵図

明治9年(1876)頃 本館蔵

大阪市中町名改正絵図

町解体の試みに挫折した大阪府は、明治5年3月に町組を再編するとともに、町域も再編します。これにより約630あった町は、530ほどの町に再編されました。この地図は、この再編にあわせて出版されたものです。赤や青、黄などに色分けされている部分は、再編された町組を示しています。旧町人たちは、この再編によって生まれた新町域単位に寄合を開き、江戸時代とは別の新しい結合を形成していくことになります。しかし、旧町域単位の結合を継続していく町もありました。


地所じしょ家屋かおくゆずり売買ばいばい確証かくしょう綴込とじこみ

明治9年(1876) 本館蔵(野村吉夫氏寄贈)

地所家屋譲売買確証綴込

天満橋てんまばしすじ四丁目(現北区)に住んでいた地主野村吉兵衛(1875-1934)の家に残された資料の一つです。天満橋筋四丁目を含めた第四大区三小区という行政区域内で生じた土地家屋売買や相続などに関する書類がつづられています。売買物件のある当該町の家持いえもち(旧町人身分)たちに契約内容が事前に通知され、彼等が契約に同意して、署名押印した書類も含まれています。天満橋筋四丁目は、明治5年の町域再編によって誕生した町ですが、新町域でも江戸時代同様に契約成立には家持たちの同意が必要だったことがわかります。


今橋いまばし弐丁目にちょうめ水帳みずちょう

安政3年(1856) 大阪市立中央図書館蔵

今橋弐丁目水帳

水帳は、各町が作成した土地台帳です。町内の土地一筆ごとに所有者が記され、その所有者が町人ということになります。所有者が変われば、帳面の旧所有者名が記されたところに新所有者名が記された紙が貼られます。この切り替え作業のことを帳切と言います。大阪市立中央図書館には184点もの水帳が所蔵されており、その大半は、明治以降、区役所に所蔵され、公文書として保管されていたと考えられます。この今橋弐丁目の水帳は、その痕跡がはっきり残っている珍しいものです。表紙には、公文書であることを示す三つの印(朱印二つと黒印一つ)と、公文書として管理するための背表紙がつけられています。

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